安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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暖淡堂の書棚

「チンギス紀 十七 天地」 北方謙三 いくつかの決着

こんにちは、暖淡堂です。 ずっと我慢していたのですが、ついに「チンギス紀 十七 天地」を手にしてしまいました。 読み始めたら、結局最後まで読んでしまって。 しばらくはまた、チンギス紀ロスの状態で過ごすことになります。 「チンギス紀」は、北方謙三…

「今昔百鬼拾遺 月」 京極夏彦 京極堂不在の東京で

今昔百鬼拾遺 月 こんにちは、暖淡堂です。 極私的「京極祭」、なんだかもう、終わりませんね。 読もうと思って、積み上げている本を熟成させているうちに、どんどん新しい作品が出てきます。 今年は、特に多かった気がします。 それも話題作が。 仕事してい…

「ルー=ガルー 忌避すべき狼」 京極夏彦 近未来サスペンス、スリラー、またはミステリー

ルー=ガルー 徳間書店版 こんにちは、暖淡堂です。 まだ極私的京極祭継続中です。 その他も読んでいるのですが… で、今回は「ルー=ガルー 忌避すべき狼」です。 ついに、手を出してしまったか、という感じではあります。 「鵼の碑」を読み始めるのを、少し…

「切腹 鬼役(十二)」坂岡 真 後始末を求められるもの

忠義に篤い若い小姓が切腹を命じられた。将軍家の朝餉の配膳中の失態が理由との事だった。 しかし、それは自らの失態の糊塗を図る上役と、家の断絶を避けようとする裕福な寄合によって着せられた濡れ衣だった。 鬼役の矢背蔵人介は、小姓に着せられた濡れ衣…

「定本 百鬼夜行 陽」 京極夏彦 京極堂世界の入り口と出口

百鬼夜行 陽 京極夏彦 こんにちは、暖淡堂です。 極私的「京極祭」、まだ続いています。 「京極祭」を始めたきっかけの「鵼の碑」、まだ読めていません。 この前の年末年始に読む予定だったのですが、このゴールデンウィークもまだ辿りつきませんでした。 京…

「矜持 鬼役(十一)」 坂岡 真 泣く準備を

鬼役とも呼ばれる将軍家毒見役矢背蔵人介は、非番の日、町中を散策していて、商家甲州屋の店先で赤子を拾ってしまう。矢背家でその赤子を育て始めるが、ある日、その子の母であるという若い女が訪れる。その女の話から、甲州屋の金を狙った町方与力と同心の…

「血路 鬼役(十)」 坂岡 真 家慶日光社参

家慶がついに将軍となり、家斉は退位して大御所となった。 ある日、将軍毒見役(鬼役)の矢背蔵人介の家を使者が訪れる。 矢背家の居候、望月宗次郎を将軍家の影として召し抱えたいというのだ。 確かに、家慶の子である宗次郎は、影として適任であった。 家慶…

Kindleで出版している本の増補版とペーパーバック版を作成していました 先週やっていたこと

こんにちは、暖淡堂です。 先週は「暖淡堂書房」で出版しているKindle本関連の作業をしていました。 易経(周易)を江戸時代の儒学者新井白蛾が解説した「易学小筌」の現代語訳を出版していて、多くの方に読んでいただけています。 今回、その増補版をまず作…

「ローマ人の物語 1,2 ローマは一日にして成らず[上、下]」 塩野七生 歴史における「西洋」の視点

こんにちは、暖淡堂です。 暖かくなってきましたね。 通勤の電車の中の人がぐっと増えましたが、僕は書物の世界に没入です。 で、塩野七生さんの人気の作品「ローマ人の物語」。 紀元前753年のロムルスによる建国から紀元前270年頃のターラント戦の勝利まで…

真田太平記(十一)大坂夏の陣 池波正太郎 真田幸村、愛馬月影とともに

徳川軍の攻撃を凌ぎ切った豊臣方は、徳川家康と和議を結ぶ。 しかしそれは、徳川方の謀略の一段階に過ぎなかった。 豊臣方中枢部の動きに幻滅しながらも、真田幸村は自らの生き方を貫こうとする。 兄、真田信之との対面も、幸村の意志を変えることはできなか…

「覇王の神殿(こうどの) 日本を造った男・蘇我馬子」 伊東 潤  馬子・額田部・厩戸

こんにちは、暖淡堂です。 歴史で「飛鳥時代」について学びましたね。 推古天皇や聖徳太子、蘇我氏、物部氏などが登場する時代。 ただ、出来事の全体像を流れで理解することができないまま、人名や事件などを個別に覚えていました。 今回、伊東潤さんの「覇…

「大義 鬼役(九)」 坂岡 真 老中水野越前守の陰

宿直明けの矢背蔵人介は、雨の中、門番と並んで老中水野越前守の登城を見ていた。 不意に老中水野の乗る駕籠を、刺客が襲った。 駕籠に駆け寄り、刺客の前に立ちふさがった矢背蔵人介に、刺客は何事かを依頼した。 水野越前守は、倒れた刺客の遺体に殴る蹴る…

「真田太平記(十)大坂入城」 池波正太郎 真田丸とは

こんにちは、暖淡堂です。 池波正太郎さんの「真田太平記(十)大坂入城」、面白いです。 真田幸村が、わずかな家臣たちとともに九度山を密かに抜け出して大坂城に入ります。 そこには豊臣方につく武将や浪人たちがたくさん集まっていますが、中心となるべき…

「邪魅の雫」 京極夏彦 「探偵」の物語として

こんにちは、暖淡堂です。 極私的京極祭、越年継続中です。 京極堂(中禅寺秋彦)モノは、スピンアウトを含めて残り数冊。 それを終えると、やっと2023年刊行の「鵼の碑」を手にすることができます。 (勝手に自分で決めているだけですが…) 「邪魅の雫」は2…

「『定年後』の”お金の不安”をなくす」 大江英樹 不安なのは自分の「今」を知らないから

こんにちは、暖淡堂です。 図書館や書店に行くと、どうしても「定年後」、「老後」、「お金」、「不安」と書かれている書物に目がいってしまいます。書店はSEO、上手く出来ていますね。 それはそれとして、今回読んだのは以下の一冊。 「定年後」の”お金の不…

「国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶」 加谷珪一 ゲマインシャフトとゲゼルシャフト

こんにちは、暖淡堂です。 FPの勉強をしていたり、極私的京極祭開催中だったりするため、他の本があまり読めていません。これではいけない、と思い、他の本も数冊積み上げて週末にまとめて読むことにしました。 今回読んだ本の中の一冊が「国民の底意地の悪…

「覚悟 鬼役(八)」 坂岡 真 シリーズの急展開

風花の舞う夜、将軍家鬼役矢背蔵人介は悪徳商人を暗殺すべく、闇に身を沈める。 だが、その矢背蔵人介の目の前で、見知らぬ武士が商人の命を奪ってしまう。 自らの暗殺にしくじった矢背蔵人介はその武士の背後を探る。 そこには飢饉に喘ぐ東北の民の暮らしを…

「舌戦」 百万石の留守居役(十三)上田 秀人 言葉と剣と

加賀前田藩の宿老本多政長が江戸城に現われる。加賀藩江戸藩邸での不祥事の弁明をするために登城したのだ。 本来であれば加賀藩江戸筆頭家老の横山大膳が出頭するはずだった。 横山大膳は直臣への取り立てを願い、大久保加賀守とともに、加賀前田藩を陥れる…

「本朝妖怪盛衰録 豆腐小僧 双六道中ふりだし」 京極夏彦 「妖怪」のエスプリ

こんにちは、暖淡堂です。 年末年始はこの本を読んでいました。 「豆腐小僧 双六道中ふりだし」。 2003年11月30日第一刷発行です。 もう何度目なのかわかりません。 そして、読み返すたびに、十分に楽しめています。 そのくらい、いつも新鮮な味わいがあって…

「北の夕鶴2/3の殺人」 島田荘司 ほんのわずかの寂しさとともに

この本は、二度買っている。 はじめはカッパノベルズ版。二度目がこの光文社文庫版である。 二度目は、思いがけず思い出に出会ったような心持ちがした。 主人公の吉敷竹史が、別れた妻通子からのメッセージに導かれるように、東北へ、さらに北へと向かう。道…

「百器徒然袋 風」 京極夏彦 探偵 vs. 霊感探偵 探偵の顔

こんにちは、暖淡堂です。 極私的京極祭、昨年中では終わりませんでした。 12月に北海道砂川市に帰省していた間は「陰摩羅鬼の瑕」をずっと読んでいました。 自宅に帰って手に取ったのがこの「百器徒然袋 風」です。 「百器徒然袋 風」は2004年7月5日に第一…

「消えた言葉辞典」 三省堂辞書出版部 モノゴトと言葉のすれ違いを思う 「有隣堂しか知らない世界」から

辞書は紙数の都合上、掲載する言葉を取捨選択しないといけませんね。 その結果、新しい言葉と古い言葉とが入れ替わっています。 で、新しい言葉の代わりに(辞書から)消えた言葉があるわけで。 この書籍はそんな「消えた言葉」にスポットを当てています。 …

砂のクロニクル 船戸与一 砂漠の熱風から極寒のブリザードへ

就職した年(1992年)に買った分厚い本である。 一人きりで過ごす時間を、持て余していた時期だった。 何度か読みかけて、そのたびに何かの理由で中断してしまった。 そのうち、書棚にあるが、読まない本になっていた。 背表紙が色褪せていくのを横目で見な…

「チンギス紀<十一>黙示」 北方謙三 1215年頃

モンゴルの侵入を許した金は、25万の正規軍、さらに25万の義勇兵をもってモンゴル軍10万を押し潰そうとした。その指揮を取るのは老将定薛(ていせつ)。定薛は義勇軍の25万を死に兵として使い、疲弊したモンゴル軍に金正規軍を当てようとした。 決戦の日、定…

成敗 鬼役(七)坂岡 真 巨悪に立ち向かう婿殿

こんにちは、暖淡堂です。 元日、いかがお過ごしでしょうか。 ふと、時間ができたら、時代物の小説など、読んでみませんか。 坂岡真さんの「鬼役」シリーズ、お勧めです。 * 貨幣の改鋳が行われる。この機会に莫大な利益を得ようと幕閣の重臣や御用商人など…

間者 鬼役(六)坂岡 真 巨額の富に群がる悪人を裁く

日蓮宗を奉じていた感応寺は、幕府の禁じた不受布施を行った罪で、天台宗に改宗させられていた。これの復興と新たな寺社の建立を将軍家斉の側室お美代の方の父、日啓が企んだ。日啓は感応寺で催される富くじのもたらす莫大な利益に目をつけたのだ。 さらには…

「陰摩羅鬼の瑕」 京極夏彦 苦悩する探偵、狼狽える作家、笑う退職刑事

こんにちは、暖淡堂です。 極私的京極祭、北海道帰省中も続いていました。 帰省前に読み始めて、帰省後に読了。 ボリュームがあるので、おそらく帰省期間中には読み終わらないだろうなと思って、本はこれ一冊だけ持って行きました。 これ一冊だけでも、しっ…

「彼女は存在しない」 浦賀和宏 物語に騙される楽しさ

こんにちは、暖淡堂です。 普段あまり読まない作家の作品から。 「彼女は存在しない」 浦賀和宏さんの作品です。 * 父の死、恋人の死、叔父の死。それぞれの事件に関わる「彼女」。その「彼女」とは誰か。 解離性同一性障害により生み出されている「彼女」…

真田信幸の闘い―真田太平記の後、未知の世界へ

こんにちは、暖淡堂です。 池波正太郎の「真田騒動 恩田木工」を読みました。 簡単に作品を紹介すると以下のようになります。 関ヶ原の戦、大阪冬の陣、夏の陣を生き延び、外様ながら信州松代藩の藩主となった真田信幸。 京都に住む才女お通の方との心の通い…

「多々良先生行状記 今昔続百鬼 雲」 京極夏彦 妖怪馬鹿として「ある(実存)」ということ

こんにちは、暖淡堂です。 極私的京極祭、まだ続いています。 今回読んだのは「今昔続百鬼 雲」。 「多々良先生行状記」という副題つき。 「百器徒然袋 雨」は2001年11月5日に第一刷発行です。 ついに21世紀に入りました。 この本に収められた作品群の主人公…

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