安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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「矜持 鬼役(十一)」 坂岡 真 泣く準備を

鬼役とも呼ばれる将軍家毒見役矢背蔵人介は、非番の日、町中を散策していて、商家甲州屋の店先で赤子を拾ってしまう。矢背家でその赤子を育て始めるが、ある日、その子の母であるという若い女が訪れる。その女の話から、甲州屋の金を狙った町方与力と同心の陰謀が浮かび上がる。「子捨て成敗」

 

矢背蔵人介の子鐵太郎が剣術道場に通い始めるが、書院番組頭の息子やその取り巻きの子らに執拗ないじめをうける。その鐵太郎をかばってくれた人は、鐵太郎に自分と同じ才能があることを見抜き、「算術本「塵劫記」を手渡す。しかし、その人は、書院番組頭毒殺未遂の濡れ衣を着せられ、殺されてしまう。鐵太郎は刀を手に取り、仇を討とうと書院番組頭の屋敷に向かうが、逆に囚われてしまう。

事情を知った矢背蔵人介は、鐵太郎を救うべく、数十人の書院番士らが待ち構える屋敷に向かう。「算額の誓い」

 

 

「矜持」を主題にした短編3作が収められています。どれもとても面白いのですが、最後の鐵太郎の冒険譚は感動しました。師と仰ぐ人との交流で、自分の才能に気づき、それを伸ばそうとすることでいじめに耐える鐵太郎の姿と、それを見つめる家族たちの姿や、窮地に陥った息子を捨て身で救いに向かう父蔵人介の行動が凝縮して描かれています。

次作以降の展開が、さらに楽しみになりました。

 

お勧めです。

感動して泣く癖のある方は、是非ご自宅でお読みください。

 

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dantandho

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