安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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作家五十音順

時間が繰り上げられた終電の後のドラマ 阿川大樹 「終電の神様 台風の夜に」

「終電の神様」の3冊目です。続けて読んでしまいました。面白いシリーズです。 舞台は池袋、有楽町、新橋界隈、それからずっと離れて鎌倉、湘南あたり。範囲がずっと広がります。それでも、終電が物語のテーマであることは変わりません。 が、この巻では台…

新宿の魅力 阿川大樹 「終電の神様 始発のアフターファイブ」

また「終電の神様」を読んでしまいました。「あ」の作家から進みません。昨年中に「い」に進みたいなと思っていたのですが、全然ダメですね。面白い作家さんがたくさんいるみたいです。 で、この「終電の神様 始発のアフターファイブ」は、それぞれのストー…

シリーズものの始め方の流儀 麻倉一矢 「拝命 将軍の影法師 葵慎之助」

まだ「い」に進んでいません。もっとずっと先の作者のものを並行して読んでいたりはするのですが。 で、今回は麻倉一矢さんのこの作品。将軍の影法師シリーズの第一作目ですね。暖淡堂はシリーズ(シリーズキャラクター)ものが好きで、時代物に限らずたくさ…

心揺れる季節の不安定感 相沢沙呼 「ロートケプシェン、こっちにおいで」

相沢沙呼さんの作品を続けて読んでしまった。このやり方では、「い」の作家に進むのがどんどん遅れてしまう。それでも、読んでしまった。 主人公の高校生、須川が自分の思いを告げてからも、酉乃初との関係は進展しない。冬休み、バレンタイン、演劇部の送別…

きちんと終わることの大切さ 青羽 悠 「星に願いを、そして手を。」

小説すばる新人賞受賞作、受賞時の年齢が16歳とのこと。 面白くて、一気に読んだ。 やはり「あ」の作家から順に読んでいこうと思わなければ出会わなかっただろう。 読後の爽快感と、充実感が得られた、よい休日の午後になった。 作中に登場する人物は、誰も…

こんな青春もあり得た 午前零時のサンドリヨン 相沢沙呼

「あ」で始まる作家を読むということをしなければ、この作家の本を読むことはなかっただろう。 ”ボーイ・ミーツ・ガール”ミステリというジャンルがあることも知ることはなかっただろう。 そして、この年齢にして、この充実した時間を過ごすという機会を一つ…

コロナ禍で注目された職業の人が探偵? 雲の上の青い空 青井夏海

コロナ禍のおかげで宅配便業者への関心が高まった。 人が動かなくなったら、物が動かなければならなくなったのだ。 そして、私たちの目に見えてきたのが、配達スタッフの仕事ぶりだった。 そんな宅配便の配達スタッフが元探偵だったら。 そんな設定の連作短…

幕末から維新までの歴史の裏? 「露八史観 大江戸ひっくり返史」 阿井渉介

太鼓持ちの松廼家露八が、お座敷で旦那に問われるままに語る歴史講話。 題材がどれも面白い。 徳川家康のすり替わり 光秀謀反の仕掛け人 山田長政の正体 白波五人男の実像 龍馬はなぜ斬られたのか これらを太鼓持ち露八が、自身の思い出を交えて語る。酒が入…

震える牛 相場英雄

地方の小都市に大型ショッピングセンターが進出する。 昔からあった商店街の客足が途絶える。 しばらくすると、ショッピングセンターの売り上げが伸びなくなり撤退。 後にはショッピングセンターの廃墟と活気を失った街が残る。 この作品の背後に、このよう…

猫と密室 「茶の湯」の密室 神田紅梅亭寄席物帳 愛川晶

寄席に行ってみたいと思う。行こうと思えばいつでもいけるのだが、まだ実現できていない。敷居の高さをなんとなく感じてしまうのだ。寄席は客を選んだりしない。それはわかっている。こちらが落語家の意図を読めないのではないかと勝手に心配して、二の足を…

大きな夢が実現するまで 「天狗照る 将軍を超えた男 ー相場師・本間宗久」 秋山香乃

鳥海山を望む出羽の国庄内藩酒田の富商本間家新潟屋の五男伝次は、幼馴染の千沙の姿を街中で偶然見かけ後を追う。江戸に行く前に伝次の姿を見たかった千沙がそっと近づいていたのだった。そこで伝次は千沙が金で買われたことを知る。幼馴染の身の上に突然訪…

そこで働くのは何故? 駅物語 朱野帰子

働き始めたとき、なにを考えていたのか、もう思い出せない。なにかを心にきめて故郷を出てきたはずだ。それなのに。 日々、様々なことを経験するうちに忘れてしまったのだろう。それに、なにを考えて働き始めたのか、思いだせなくても困ることはないのだ。ど…

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