還暦記:暖淡堂

還暦前後の日々の記録を中心に

【現代詩】「桟橋」 誰も戻らない場所が確かにあるということ 現代詩の試み 

桟橋

桟橋


 

桟橋

 

 

…静かに…

 

 

 

雨に濡れる桟橋の先で

 

溢れようとする海に何冊かの本を沈めると

 

水の底から

 

古い写真が一枚

 

ゆらりと浮び上がり

 

 

 

冷たい風が

 

高い空から剥がれ落ち

 

ふと 遠くから呼ばれた気がして振り返った

 

あの日の

 

(…いつも ここ にある…

 

灰色の浜辺に置き去りにされた少年が

 

そっと 模型の船を置き

 

 

 

波の先で泡立つ砂の

 

さりさりという音

 

引く波の唇がめくれて鳴る

 

ふるふるという音

 

波打ち際に

 

透明な塊がいくつも打ち上げられ

 

また 波にさらわれ

 

 

 

小さな駅のプラットホームで

 

柔らかな殻を溶かし広がろうとする

 

一つの朝に少年は背を向け

 

信じていなければ

 

消えてしまいそうだった汽車の

 

重く冷たい扉を押し開け

 

暗い座席の窓に額を押し当てる

 

と 視野が 揺れ

 

ニスとタールと埃の匂

 

垢と膏薬と樟脳の匂

 

もう薄暗く暮れていく空で

 

霙が 溶け

 

 

 

…流れ…

 

*****

 

最後の舟がここを離れてから、時間はそれほど経っていないのに。

もう季節はいくつも通り過ぎていってしまったみたいだ。

季節は必ず冬で終わる。

 

そして、まったく新しい四季が、冬の下から湧き上がってくる。

それがとても前の四季に似ているので。

人々は同じように春が来ると思ってしまう。

 

異なることを。

恐れているかのように。

 

 

雪の処方箋 (暖淡堂書房)

新品価格
¥400から
(2023/1/24 21:14時点)

 

【現代詩】「桟橋」

誰も戻らない場所が確かにあるということ 現代詩の試み

 

旅立つ場所、帰り着く場所。

そこに時間や空間や思いのずれ、窪みなどが生じるように感じています。

そのずれ、窪みのようなものが表現できないか、考え続けていた時期に書きました。

 

またお立ち寄りください。

どうぞご贔屓に。

 

f:id:dantandho:20210924172547j:plain

dantandho

にほんブログ村 ポエムブログ 現代詩へ
にほんブログ村

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

「契りきなかたみに袖をしぼりつつ」 清原元輔 多作な歌人、清少納言の父 末の松山とは

百人一首第42番目の歌の作者は清原元輔です。

百人一首第36番目の歌の作者清原深養父の孫で、第62番目の歌の作者清少納言の父です。また、三十六歌仙の一人であり、後撰和歌集の選者でもありました。

 

今回は清原元輔について紹介します。

 

清原元輔とは

生年が908年、没年が990年。平安時代中期の人です。

最終官位は従五位上肥後守

生没年からわかるように、当時としてはとても長寿の人でした。

肥後守に任じられたのが79歳の時。

そのまま任地で亡くなりました。

享年83。

和歌の才能は高く評価されていました。

そして多作でもありました。

他の人に頼まれて詠むことも多かったようです。

百人一首に選ばれているこの歌も、人に頼まれて読んだもののようです。

 

時代背景

「末の松山波越さじ」。

この松山は宮城県多賀城市にあります。

「波」は、穏やかに砂浜に打ち寄せる波ではありません。

平安時代前期の貞観11年5月26日に発生した大地震による津波のことです。

この地震の発生後、朝廷による救済は遅れたようです。

そこで問題になったのは、この地域が日本と蝦夷の境界であったこと。

当時の清和天皇が日本の民であろうと蝦夷の人々であろうと区別することなく救済せよ、と言ったことで、救済が始まったようです。

 

百人一首の歌

歌:契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは

歌の意味:約束したではありませんか、お互いに涙に濡れた袖を絞りながら。あの末の松山を波が越してしまうことが決してないように、心変わりなどあるはずがないと。

 

https://item-shopping.c.yimg.jp/i/j/bookfan_bk-4044072183

 

「契りきなかたみに袖をしぼりつつ」 清原元輔 多作な歌人清少納言の父 末の松山とは

 

平安時代の前期にも、東北地方に大地震津波が発生していたようです。

その記憶は京都の人たちにも長く残っていたのでしょうね。

 

またお立ち寄りください。

どうぞご贔屓に。

 

 

f:id:dantandho:20210924172547j:plain

dantandho
にほんブログ村 本ブログ 古典文学へ
  にほんブログ村ランキングに参加しています

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

臨済録現代語訳の進捗 「散木の小屋」の記事を紹介します

こんにちは、暖淡堂です。

 

別サイト「散木の小屋」で、古典「臨済録」の原文全文のデータの公開と、少しずつ現代語訳の紹介をしています。

臨済録」は臨済の語録です。

それはただ禅の教えではなく、私たちが日常暮らしていく上で感じる不安や迷いなどを乗り越えていくためのヒントの宝庫でもあります。

現代語訳はできるだけ平易な言葉になるように努めています。

ご関心を持たれた方、ぜひ、以下のリンクから「散木の小屋」にお越しいただければ幸いです。

 

原文全文リンク

sanboku.blogspot.com

 

臨済録カテゴリーリンク

sanboku.blogspot.com

 

 

臨済録現代語訳の進捗 「散木の小屋」の記事を紹介します

 

臨済録」の現代語訳は、原文を何度も繰り返し読みながら作業を続けています。

読むたびに気付かされること、励みになるようなことが見つかります。

臨済録は特定の宗教や宗派に関係なく、穏やかに生きる上での導きの書物ともいえます。

多くの方に読んでいたらければと思っています。

またお立ち寄りください。

どうぞご贔屓に。

 

f:id:dantandho:20210924172547j:plain

dantandho

にほんブログ村 ライフスタイルブログ ほどほどの暮らしへ
にほんブログ村

 

PVアクセスランキング にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村