安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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こんな青春もあり得た 午前零時のサンドリヨン 相沢沙呼

「あ」で始まる作家を読むということをしなければ、この作家の本を読むことはなかっただろう。

 

”ボーイ・ミーツ・ガール”ミステリというジャンルがあることも知ることはなかっただろう。

 

そして、この年齢にして、この充実した時間を過ごすという機会を一つ逃したのだろう。

 

「フェイはね、妖精なの。ペローのサンドリヨンや、ディズニーのシンデレラで、魔法をかけてくれる魔法使いの女性が現れるでしょう。彼女は魔女ではなくて、妖精なの。彼女がフェイなのよ。私、子供の頃に、フェイになりたいって思ってた。誰かを励ましたり、楽しませてあげたり…そんな魔法をかけることのできる魔法使いになりたかった…。けど、やっぱり無理ね。現実は、御伽噺のようにいかないもの」

 

登場人物たちは皆、自分と他人との関係の「理想と現実」のギャップに悩む。

 

主人公が出会い、心惹かれた少女は、友人に認められるために必死に身につけた手品の技を磨く。

 

才能もあり、観察力の鋭さもある。

 

そして、二人が遭遇する事件の真相を、少女は推理する。

 

しかし、少女が本当に求めているものは、いつまでも得られない。

 

それに、主人公は気づくことが出来るのか。

 

少女が求めていることに応えることができるのか。

 

「素直になれないのよ、あの子。不器用で、仕方ないの。でもね…」

 声を震わせ、彼女は言う。

「わたしは、信じてる。あの子の夢は、本物だってこと」

 

少女の友人から、主人公は、少女の心を開くことを託される。

 

密室の謎を解いた少女は、しかし、泣き崩れてしまう。

 

主人公は、勇気を出して、少女に言葉をかける。

 

 

自分の青春時代は、こうではなかった。

もっともっと武骨で、そして格好悪かった。

 

でも、こんな青春もあり得たかな。

勇気の問題かな。

 

そんなことを考えた。

 

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dantandho

 


 

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