安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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横溝正史 「日本探偵小説全集9 横溝正史集」 名探偵金田一耕助登場

by カエレバ

 

きっともう五回以上読んでいます。

この本を買ったのが1992年。

その頃は本格ミステリーの若手の作家の方が多くデビューされていて、数多くの作品が世に出されていました。

当時僕は島田荘司さんの作品が好きで、出版されていた本はほとんど入手していました。

 

それと並行して、古典の推理小説も読んでいました。

その流れの中で手にしたのがこの創元推理文庫で企画された日本探偵小説全集の「横溝正史集」。

 

夏になると読みたくなるのですが、今年もまた読んでしまいました。

この本の売りの一つは、収録されている作品を読むことで、名探偵金田一耕助の若い頃の足取りを追うことができることです。

大体、以下のようになります。

 

金田一耕助、名探偵としてその名を知られる:「本陣殺人事件」

「本陣殺人事件」の中で、金田一耕助が地元の中学を卒業後、アメリカに渡ったことが書かれています。そのときの年齢が19歳。アメリカにいる間に麻薬中毒者にもなったりしましたが、危うく迷宮入りしそうになった事件と遭遇し、それを見事に解決します。

それがきっかけで名を知られるようになります。それで知り合ったのが、後のパトロンとなる久保銀造。久保銀造は帰国した金田一耕助が探偵事務所を開くときにも資金援助します。

「本陣殺人事件」に登場する金田一耕助は25歳から26歳くらいの設定です。アメリカの事件があってから3年ほど経った頃に帰国して事務所を開いています。

なお、この「本陣殺人事件」の被害者久保克子は久保銀造の姪になります。

 

戦争から復員後、戦地で友人に託された事件を解決:「百日紅の下にて」

昭和21年9月、東京市ヶ谷のある屋敷の廃墟で、復員者として金田一耕助が登場します。そのときの年齢が35歳から36歳。「本陣殺人事件」から10年ほどが経過しています。

金田一耕助は「百日紅の下にて」の中で、南方のニューギニアから復員したと語ります。

 

瀬戸内の孤島での事件:「獄門島

「獄門島」の中で「本陣殺人事件」は昭和12年のことであると説明されます。金田一耕助が獄門島に足を踏み入れたのが昭和21年の秋のようです。

「獄門島」の中で、金田一耕助の招集から復員までの様子が次のように語られます。「本陣殺人事件」の後招集され、まず中国大陸に行きます。そこで2年いた後、南洋の島々に送られて、終戦のときにはニューギニアにいました。

ニューギニアから日本に帰った足で、まず市ヶ谷の事件を解決し、そのまま「獄門島」に来た、ということのようです。

 

金田一耕助に委ねられた事件の結末:「車井戸はなぜ軋る」

「獄門島」での事件の後、金田一耕助山陽地方と思われるところで起こった事件にまつわる手記を受け取ります。

その事件は、すでに関係者によってその真相が解き明かされていましたが、金田一耕助はその結末の付け方を委ねられます。

金田一耕助のその際の挙動に、名探偵金田一耕助のその後の道筋が現れているような気がします。

 

横溝正史 「日本探偵小説全集9 横溝正史集」

名探偵金田一耕助登場

 

この本には金田一耕助もの以外に「鬼火」と「探偵小説」が収録されています。

いずれも長く記憶に残る名作です。

またお立ち寄りください。

どうぞご贔屓に。

 

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dantandho

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