安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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「国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶」 加谷珪一 ゲマインシャフトとゲゼルシャフト

こんにちは、暖淡堂です。

FPの勉強をしていたり、極私的京極祭開催中だったりするため、他の本があまり読めていません。これではいけない、と思い、他の本も数冊積み上げて週末にまとめて読むことにしました。

 

今回読んだ本の中の一冊が「国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶」です。加谷珪一さんが書かれています。

 

改めて勉強したのが「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」。昔、高校生くらいの頃に勉強したような気がします。すっかり忘れていました。

タイトルから想像される内容の部分は確かにありましたが、ゲマインシャフトゲゼルシャフトに関する記述がとてもわかりやすかったです。読みながら、それに関係して色々と考えてしまいました。

その辺りを以下にまとめてみたいと思います。

 

ゲマインシャフトゲゼルシャフト

ゲマインシャフトゲゼルシャフトは、ドイツの社会学フェルディナント・テンニースが提唱した社会結合の2つの類型です。

ゲマインシャフトは、血縁、地縁、友情などの自然発生的な結びつきに基づく共同体です。ゲマインシャフト的共同体では、個人の意思決定は情緒的、感情的。また、集団の意思決定は慣習的、経験的、また記憶に頼るようなもの。そこでの規律は上下関係や身分など関係性で変わります。

このような社会の例として農村共同体やムラ社会と呼ばれるものが挙げられます。構成員の移動は少なく、むしろ固定的で、集団の外に対する防御的な理由で繋がったものともいえそうです。

ゲゼルシャフトは、利害関係や契約などの合理的な結合に基づく社会です。成員間は目的達成のために一時的に結びつき、関係は表面的で形式的なものです。個人の意思決定は、状況に対する理性的な考察をもって行われ、本人の価値観が優先されます。共同体における人々の関係は契約や合理性などによる規律に基づきます。

関係は契約によりますので、会社の上下関係もあくまでもルールで定められたもの。偉いとか偉くないとか、そういうものではなく、機能や役割分担としての上司と部下いうことになりますね。上司や部下というと上下になりますので、むしろマネージャーとスタッフメンバーでしょうか。

 

現代日本におけるゲマインシャフトはどこにあるか

日本の社会はゲマインシャフトが基層にあり、その上にまだらにゲゼルシャフトが塗布されているような形です。(最近読んだ特許の発明によく似ています…)

家族は、そもそも自然発生的に生じた関係の上に「婚姻届」とか、結婚式での「誓いの言葉」、子供が生まれた時の「出生届」などが後付け的に重ねられています。契約が先、役割分担が先、ということではありません。(そのようなものもあるのかもしれませんが…)

会社もほぼ同じ。新入社員を選ぶ過程がゲマインシャフト的ですね。学歴や出身地、コミュニケーション力(ここではむしろ空気が読めるかどうか、先輩後輩関係を経験しているか、その他)などを重視し、過去の職歴なども勘案して選び、あとは入社後、どれだけ会社の風土に馴染むか、という部分を見続けます。(そうでない会社もあるのかもしれませんが…)

日本の政治の世界はゲマインシャフト的なものの典型。硬い(心理的に)集団(政党、派閥など)を作り、ボスの顔色を伺い、忖度する。ボスが不明瞭に発した言葉の言葉尻をどのくらい正確に読み取るかで仲間と競う。ルールよりもボスの振る舞いや雰囲気を重視する。違法行為をして処罰されたとしても、それがボスから認められればそれでよしとする。(そうでない政治家がいてほしい…)

学校の学級もゲマインシャフト的だと思われます。うまく運営されている学級ほど、教師を頂点とした情緒的な共同体になっているのではないでしょうか。

 

*****

 

ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」という考え方を思い出したので、ついつい色々と書いてしまいました。

この本の主題は、なぜ日本の景気は良くならないのか、という部分です。過去の高度成長はどうして成功したのか、とか、現在はどうして好景気にならないのか、という部分、とてもわかりやすく書かれていました。

今回の記事ではそこには触れませんでした。

ご関心のある方、ぜひこの本を手に取ってみてください。

 

 

 

「国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶」 加谷珪一 

ゲマインシャフトゲゼルシャフト

 

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