小説の巧者、浅田次郎さんの小説を読みました。
そこで起こった分隊10名全員死亡という事件。
その解決に、従軍作家と検閲担当中尉が向かいます。
この三人が、関係者への尋問、状況の捜査を経て真相にたどり着きます。
内容は、ぜひこの本をお手に取って読んでいただくのが良いと思います。
浅田次郎さんのお手並をどうぞお楽しみください。
小説ですが、この本で学んだのは以下の点です。
従軍作家の階位、執筆における制約
従軍作家の軍の中での位置付けは新聞社、または出版社の記者という立場で従軍するようです。いわば軍属。戦地給与や特別支度金を受け取ってから任地に向かいます。
また軍の中の待遇は佐官(大佐、中佐、少佐)の少佐相当。大概の兵士よりは上の階級で軍に所属し、新聞社や出版社の求めに応じて執筆していたようです。
原稿は検閲を受けます。軍の作戦や行動、現在や将来にわたる任務や企図は新聞等への掲載は禁止、原稿段階での修正が求められたようです。
拳銃の命中精度
「わずか十メートル先の人型標的ですら、弾丸を集中させるのは至難の業だった」と文中に書かれています。難しいもののようです。
浅田次郎さんの他の小説では、同じ時期の中国の匪賊が、銃を構えて撃つのではなく、振るようにして打つという描写があります。
じっと構えて打つよりも、鞭でも叩きつけるようにして打つ方が当たりやすいような気がしてきます。
昭和13年頃の中国の食糧事情
軍の糧食の不足はなかったようです。お酒やビールも倉庫には十分な量があったようで。
それ以上に、現地の中国の人たちは豊かな食材を生かした料理を食べていたようです。他の作家の書いた満州の様子でも、日本の内地よりはずっとゆとりのある食生活ができていたような描写がありました。
日本国内で辛抱しているよりも、満州や中国に行って少しでも豊かさを味わいたい。そんな気持ちで日本を離れた人たちも多かったのではないでしょうか。
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戦争はこの小説で描かれた時期からどんどんと泥沼化していきますね。
その辺りも、浅田次郎さんの他の小説に描かれています。
全巻一気読みをしてしまいました。
隣国のことなのに、歴史的なことも含めて知らないことが多いな、と思います。
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。
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