こんにちは、暖淡堂です。
普段あまり読まない作家の作品から。
「彼女は存在しない」
浦賀和宏さんの作品です。
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父の死、恋人の死、叔父の死。それぞれの事件に関わる「彼女」。その「彼女」とは誰か。
解離性同一性障害により生み出されている「彼女」は、自らの「過去」からの物語を生き続ける。
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2001年の作品です。
本書のタイトル自体がすでにトリックの一部をなしています。
存在しない「彼女」とは誰か。そう作者から挑まれていますね。
読み始めたら、最後まで本から手が離せないかもしれません。
ワクワクする、という感じではなく、不安感のような、精神的な危機感のようなものがあり、それを途中で放置できなくて、読み続けてしまう、というような。
それもまた小説を読ませる妙手。
事件は解決しますが、読後感は重たいものがあります。
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浦賀和宏さん、コロナが始まった頃に亡くなられています。
作品一覧などは以下のリンク先でご確認ください。
「彼女は存在しない」 浦賀和宏 物語に騙される楽しさ