
書棚の本の埃落としを少しずつしている。
が、あまり進まない。
手にした本を開いてしまうからだ。
この週末に、学生時代から持って歩いている本の棚の埃落としをした。
で、懐かしい本を開いてみた。
「原子物理学」は、古典であり、すくれた教科書でもある。
学生時代、ゼミ室の自分の机の上にはいつもこの本が置かれていた。
中には、数カ所、書き込みがしてある。
本への書き込みをほとんどしないのに、この本には数カ所。
力を入れて読んでいたのだろうと思う。
ソ連当時の1944年に初版。
日本語訳の増訂新版1刷は1966年。
現在も、増訂新版が入手可能である。
この本が、長く売られているには理由がある。
原子の理解の歴史が、詳細に記載されていて、それが物理学の一時期の熱気を伝えているから。
19世紀から20世紀初めにかけての、天才たちの思索とひらめきが、臨場感を伴って記録されているから。
この本は、電子の理解から始まる。
電子という概念の創造と、その理論的な意味づけ。
そして原子(電子と原子核)の構造の解明へと進む。
その過程で用いられるのが古典物理学の理論である。
量子力学が現れるのは、この本の終わり頃。
それまでは、力学、電磁気学、光学、など。
19世紀には完成したと考えられていた、物理学の根幹をなす理論群である。
その理論群が、揃って足止めをくらったのが、「黒体輻射」という問題。
これをめぐって、天才たちが挑戦を始める。
ボーア、プランク、アインシュタイン、ド・ブロイ、ハイゼンベルグ、それにシュレーディンガー。
20世紀初頭の知の巨人たちによる壮大なストーリーが、この本では描き出されている。
理系の言葉に慣れていない人には、間違いなく手強い本である。
多少、慣れているくらいでは、十分に重たい。
難解に感じられる人も多いと思う。
それでも、面白いことは確かである。
関心のある方には、一読をお勧めしたい。
「原子物理学」 シュポルスキー 玉木英彦他訳
古典物理学の挑戦

dantandho

