家慶がついに将軍となり、家斉は退位して大御所となった。
ある日、将軍毒見役(鬼役)の矢背蔵人介の家を使者が訪れる。
矢背家の居候、望月宗次郎を将軍家の影として召し抱えたいというのだ。
確かに、家慶の子である宗次郎は、影として適任であった。
家慶は将軍になると、父家斉が成し得なかった「日光社参」を行う。
莫大な費用と人員の動員を伴う社参は大事業であり、これを行うことで家慶は父家斉に将軍としての威光を示し、政治から手を引いてもらいたいのだ。
しかし、家斉はそれを激しく憎み、命をも奪おうとする。
家慶の日光社参を、刺客の一群が追う。
鬼役矢背蔵人介と影望月宗次郎は、家慶を守り切ることができるか。
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前の巻までに矢背蔵人介の知己となった人々が登場し、鬼役を助けます。
皆、胸のすくような活躍を見せます。
本巻にはもう一人、影としての佐平が登場します。
佐平は、本巻の主人公とも言ってよいかもしれません。
お薦めです。