源氏物語に関する本を手にする機会が増えました。
で、今回読んだ本がこれです。
とても面白く、一気に読んでしまいました。
平安時代の貴族たちの乱暴狼藉エピソードがたくさん書かれています。
平安時代のイメージは、色鮮やかな絵巻のようなもの。
色彩鮮やかですが、なんとなく薄っぺらい感じでした。
この本を読んで知ったのは、そんな平安時代にも影の部分がたくさんあるということ。
鮮やかな絵巻に、影をくっきりと書き込んだので、明るい光の中に立っている人物たちが、さらに鮮やかに立ち上がったように思います。
この本で紹介されている人物の中で、特に興味深かった数人を紹介します。
藤原実資
この本に書かれているエピソードの多くは、藤原実資の残した日記「小右記」の記載内容を参考にしています。日記に残されているのが、ちょうど源氏物語と同時代の出来事。紫式部とも面識のある人物で、節度のある振る舞いから賢人右府と呼ばれていました。その小右記には貴族のハチャメチャな振る舞いや、深刻な事件などが多数記録されているようです。小右記、欲しくなりました。
花山法皇
花山法皇(天皇から退位後仏門に入った)は、平安時代に起きた騒動の、一つの中心でした。在位中も退位後も女性遍歴が賑わしく、それが原因で貴族の一部の人たちともめ続けます。その生活を支える家人たちも騒動を引き起こします。心情的に対立していた貴族の家人と揉めて、殺してしまったり、花山法皇の宅の門前を通過する牛車に石の飴を降らせたり。やたらと乱暴です。当時の平安京の音が聞こえたならば、物凄く騒がしかったのかもしれません。
藤原道長
御堂関白藤原道長です。あの、道長。その藤原道長も、かなり乱暴者だったようです。知り合いが受けた役人の登用試験の試験管を監禁し、試験結果に手心を加えるように要請したり、自分のための仏閣や庭を建設するために、平安京の中から建築用の資材を勝手に持ってきたり。当時の人たちも呆れて見ていたのでしょうけど。そんなことをすると、1000年後も語り継がれていますよ、と、教えてあげたいくらいです。
貴族も人の子でした。
御曹司、貴公子などと言われても、トンデモない奴らもたくさんいたようです。
そんな人たちの振る舞いが、1000年以上経っていても話題になるのですから、それは物凄いことかもしれませんが。
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。