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六十四卦のうち離卦を上に置くものを紹介しています。
今回は「離爲火」です。
卦の形は上卦下卦いずれも離。
火が二つ重なった形をしています。
先に紹介した六十四卦表をご参照ください。
易経にある離爲火の卦辞は以下のようなものです。
離爲火
離。利貞。亨。畜牝牛。吉。
離は、貞しきに利あり。亨る。牝牛を畜(やしな)う。吉。
易では離は「つく」という意味を持つものと理解しています。
白川静さんの「常用字解」(平凡社)では二匹の爬虫類が交わる形、鳥が鳥餅にかかる形と説明されています。
こちらも交わる、つく、という意味になっています。
火は燃えるものにつきます。
山火事は火が次から次へと燃え移っていきます。
それも離。
卦辞は正しい心で取り組めばよいことがある。
牝牛はおとなしい柔順な動物を象徴します。
それを養えば吉、とは、身のうちに柔順さを育てよ、ということかもしれません。
この卦に対して、新井白蛾はどのようにいっているでしょうか。
離為火
「雉が網中に罹(かか)る」の象
「秋葉風に翻る」の意
この卦は離別を表すものであり、親子兄弟あるいは親しき友と別れて遠ざかることがあるだろう。
そうではあるが、学者や出家などにとっては吉である、大いに人に用いられて名を残すだろう。
しかし普通の人にとってはよくない、住んでいるところを去らなければならないほどの苦労があるだろう。
罪を受ける、あるいは咎にあうこともあるだろう、慎むべし。
女難あり。
金銀その他財産の損失がある。
言葉で憂いごとがある。
婚礼、養子縁組など成立しにくい、成っても結果はよくない。
妊娠お産、よくない。
病は凶、しかし急病であれば不意に治ることもある、考えあわせるべし。
失せもの、出てくるのが遅ければ、大半は失われている。
またこの卦は、先に凶、後に吉のものでもあり、物事によって、吉事とすることもあるので、よくよく考えて判断すべし。
易学小筌から
ここでも、新井白蛾は学者の心得を述べています。
学者が大成するためには孤立することを避けないという態度が必要です。
離爲火 六十四卦 易経の卦辞と新井白蛾「易学小筌」
新井白蛾は易経の卦辞から離れた、独特の解釈をしています。
江戸時代の儒学者間でどのような議論がされていたのか、とても興味があります。
またお立ち寄りください。
引き続き、どうぞご贔屓に。
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