百人一首第71番目の歌の作者は大納言経信です。
藤原頼通が政治の中心にいた頃から、後三条天皇、白河天皇の院政期に至るまで歌壇の中央で活躍していました。
今回は大納言経信について紹介します。
大納言経信とは
大納言経信(源経信)の生年は1016年、没年は1097年。
宇多源氏につらなる人です。
その後も歴代の天皇に仕え、1070年に正二位、1091年には大納言となります。
1094年に大宰権帥となり、1095年任地に下向。
そのままその地で亡くなりました。
詩歌や管弦などの芸に秀で、また有職故実にも通じていました。
歌人としての評価は高く、多くの歌合にも参加しています。
この百人一首に選ばれている歌は、師賢朝臣の梅津の山荘に人々が集まった時に作られた歌とされています。
当時の梅津は、貴族たちが京都の埃っぽさを避けて別荘を建てた、人気の土地だったようです。
時代背景
大納言経信には、異形の者(鬼)の姿を見たというエピソードがあります。
自宅で九月の頃の月を眺めていると、衣を打つ砧の音が聞こえてきます。
眠られずに砧を打つ人がいるようだ、という内容の歌を歌うと、秋の季節に冬に向けた衣を打っているのだ、という返答の歌がありました。
誰だろうと思って見てみると、そこには大きな異形の者が立っています。
驚いた経信が八幡大菩薩に助けを求めると、どうして祟りをなすなどと思うのか、と言いながら姿を消したとか。
その異形の者は、朱雀門の鬼だったのではないかと考えられています。
<朱雀門の鬼(2)>
— 妖怪・霊獣・異形の神仏 (@riox5555) 2021年2月10日
当代一の歌人・源経信の歌に恐ろしい声で漢詩が返ってきた。約5mの大鬼だった。「朱雀門の鬼だろう」と、古くからこの鬼が文化・芸術を好むとされた事が窺がえる。 1.歌川国芳「百人一首之内 大納言経信」 2.月岡芳年『月百姿』「から衣~ 経信」 pic.twitter.com/pmOUT7rkwY
百人一首の歌
歌:夕されば 門田の稲葉 おとづれて 芦のまろやに 秋風ぞ吹く
歌の意味:夕方になれば、家の門の前にある田んぼの稲の葉が音をたてて、蘆葺きの粗末な小屋に秋の風が吹く
「夕されば 門田の稲葉 おとづれて」 大納言経信
さわやかに秋の情景を歌う
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。
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