安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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大雨による水害と、葬儀の後のこと 【沙河31】

北海道砂川で過ごした昭和の日々

  

葬儀が終わると、遠くから来ていた親戚は、一度我が家に移動しました。

簡単な食事をして、お酒を飲む人たちは改めて飲み直しました。

それから帰る人と、そのまま家に泊まる人に別れて、家に泊まることになった人たちはさらに飲み続けました。

 

雨は止んでいましたが、空は暗かったように覚えています。

テレビでは、空知管内の何箇所かで川の増水、道路の冠水などの様子が映されていました。

祖父の葬儀の間に、被害が出るほどの大雨が降っていたことを、そのとき知りました。

  

【沙河】昭和五一年~昭和五二年 (十四)④

  

 雨は止まず、夜にかけてさらに激しくなった。

 ごく近しい人たちと、遠くから来た親戚だけが家に残り、一緒に夕食を食べた。

 私と妹は、食事を済ませるともうすることもなく、早めに寝た。

 目覚めると、まだ雲は多かったが、時折は太陽の光も射していた。テレビのニュースで、石狩川が夜の間に氾濫したこと、国道十二号線のところどころで冠水していることが伝えられていた。

「祖父ちゃんは、気性の激しい人だったからな」

 親戚のおじさんがいった。祖父の兄弟の一人だった。

「久しぶりに来たんだから、ゆっくりしていけってことだ」

 祖母は薄い夏用の普段着に着替えていた。

 大雨で国鉄もバスも止まっていた。

 親戚のおじさんとおばさんは、一週間ほど家で過ごしたあと、鷹栖の親戚の家に行くといって、復旧したバスと国鉄の汽車を乗り継いで帰って行った。

  

「沙河」(暖淡堂書房)から

 

   

*☺☺☺☺☺*

    

葬儀の後も、しばらく祖母はしょんぼりとしていた気がします。

僕はそんな祖母の様子を気にかけながら、その年の夏を過ごしていました。

  

大雨による水害と、葬儀の後のこと 【沙河31】

 

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dantandho

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