祖父母に連れられて、親戚の家に行くと、楽しかったのか、ちょっと舞い上がった状態になり、いくつか失敗をしてしまいました。
それらの事件は、親戚の家に行くたびに話題になり、恥ずかしい思いをしたものです。
ただ、誰もが朗らかに対応してくれていたので、親戚の家々はいつまでも楽しい場所であり続けました。
今振り返ると、どれもとても田舎の家なのですが、とても暖かく感じたものです。
【沙河】昭和四〇年~昭和五〇年 (七)②
祖母に連れて行かれた親戚の家は、どれも昔からある家だった。
風呂や便所は家の外に作られていた。幼い子供だった私は、そこでも、夜一人では便所に行けなかった。祖母や、その他の人に一緒に行ってもらった。広い田圃の中にある家で、夜は蛙の鳴き声が盛んに聞こえた。
そんな親戚の家の、いずれかにいた時のことだ。
親戚の車で出かけようとしていた時に、私は車の扉に指を挟んでしまった。痛くて泣いた。指を挟んだ状況や、指を挟んでしまった理由は思いだせない。
すぐ側にいた誰かが叱られていた。私の行動に注意をしていなかったというのだった。
指に湿布を貼り、その上を包帯で巻いた。
そのすぐ後に、私は犬に頭を噛まれてしまった。
犬に拾わせようと木の枝を投げ、それをなぜか自分で拾いに走った。犬と私が競うような形になった。枝は私が掴み、犬は私に噛みついた。周りにいた大人たちは慌てた。噛み痕から血が出た。
すぐに病院に連れて行かれ、頭に包帯を巻いて帰って来た。手にも包帯を巻いていた。
その時は、満身創痍の旅行になってしまった。
その後、やはりこれらのことも、親戚の家に行った時は決まって話題にされ、冷やかされ、私は恥ずかしい思いをした。それでも、私は祖母と一緒に、この北の町の親戚の家を訪ねるのが嫌いにはならなかった。
その家に、最後に行ったのは、私が旭川にある大学に通っていた頃だった。祖父の弟、私からみて大叔父を車で送って行ったのだ。
祖母は入退院を繰り返していて、もう私と一緒には行けなかった。
「沙河」(暖淡堂書房)から
*☺☺☺☺☺*
犬に噛みつかれたことがあるのですが、不思議と犬が恐くありません。
今でも大型の犬を見かけても平気です。
近づいてもなんともありませんね。
先日は、近所で飼われているドーベルマンが僕の手の甲に柔らかい鼻を押し付けてきました。
飼い主の方は慌てていましたが、僕は「大丈夫ですよ」と言いながらすれ違いました。
親戚の家で起こった事件 旭川鷹栖の犬 【沙河14】
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