そして、舞う雪…
(…底で騒ぐ突起の群…
(…その、一塊が…
(…不意に、沸騰する…
(…そして、崩れた底のさらに下に…
(…新たな「底」がのぞく…
浮上する泡は
表面が突起で覆われた
「まるで袋」のように
膨張を続けるのだ
打ち上げられるのは
北の、遠い涯の
雪の厚く降り積もった砂浜
白い鳥だけが見下ろしている
雪が風に舞う
波が凍る砂浜を齧る
遠い砂浜
科学にできることはもはやなく
あるいは言葉はただたんなる窒息間際のうめきになり
あとは「底」がいくつ現れるのかを
数え上げる子供の声だけが、必要なのだ
それに気づくのも
あの声の主
私が、あの遠い涯
あの北の暗い坑道に置き去りにしたままの
(…置き去りにされたままの、子供…
砂浜に打ち上げられた
袋を蹴りながら駆けてゆく足跡が
雪原と波打ち際のわずかの境界を
どこまでも続く
そして、舞う雪
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