坑 道
餓えた男達は、黒く硬い層を噛み砕き、食らいながら掘り進む。
もう何年も眠らずに掘り続けたが、満たされることはなく、不意に襲いかかる「希薄さ」に、頼りなく窒息してしまう。
(…とろりとした脂に満ちた坑道と…
(…巨大なボタ山をいくつも残し…
眠れない子供達は、涯の駅のホームで、それが自分達の父の死体が腐敗して流す毒の霧だと気づかないまま、時折霧が流れて姿を見せる巨大な山に、息を殺し、目を凝らす。
と、どこからか列車の近づく音が聞こえる。
(…暗い便所に逃げ込んだ子供に…
(…それは一番先に訪れる…
祈る女達は、冷たい雨の下、炎を吹き上げるボタ山を見上げる。
そして、焦げながら笑う子供達が手をつなぎ、歌いながら踊るのを見つめ、不意に不穏な触手の束のような笑い声を上げる。
静けさが、狂ってしまった女の中で膨れ上がる。
(…女の身体と同じ形の空洞に…
(…経典の言葉が満ち、溢れ…
【現代詩】「坑 道」
熱い地下に眠り続ける人たちのイメージ
現代詩の試み
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