いよいよ小学校入学時期が迫って来ました。
家の中でヌクヌクと過ごす最後の冬です。
雪の多い冬だったように記憶しています。
いつも一人きりで雪の中で遊んでいました。
その冬も終わり、春じわりと近づいて。
暖かな風が吹く頃になりました。
【沙河】昭和四〇年~昭和五〇年 (十)②
秋が来て、家の中で遊ぶことが多くなった。私は雑誌や絵本を読み続けた。そんな時、よく家族からどこにいるのかわからなくなるといわれた。とても静かにしていて、時折は気配も消えていたらしい。
本を読んでいなければ、テレビを観ていた。NHK教育テレビの番組や、他の局の子供向けのアニメーションを観たりしていた。
そして冬が来た。雪は降り続け、我が家はすっかり埋もれてしまった。
雪は南西からの風で運ばれてくることが多かった。家の南側の窓は風の侵入を防ぐために透明のビニールシートで覆われていたが、その窓の半ばまでは雪に埋まっていた。
雪は降り続けたが、三月の下旬になると日照時間が増え、厚く降り積もった雪も次第に減り始めた。時折は暖かい風も吹いた。道路には雪解け水の流れる細い川が出来た。水の下には、黒い土が見えた。
季節はゆっくりと移り変わり、私の小学校への入学時期も近づいていた。
「沙河」(暖淡堂書房)から
*☺☺☺☺☺*
家族の心配をよそに、僕はそれまでと同じように家の中で静かに遊んでいました。
両親や祖母を不安にしていたいくつかのことは、それほど気にしなくてもよかったことがすぐにわかります。
その辺りは次回以降で。
北海道の春、小学校入学直前の頃のこと 【沙河21】
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