ついに小学校の入学式の日が来てしまいました。
朝から小雪の舞う、寒い日でした。
小学校には母親と二人で出かけました。
雪解けの水で、道はぬかるんでいました。
半ズボンの下にはいた白いタイツに泥水が跳ねたのを、母親は気にしていました。
入学式が終わって、家に帰ってもまだ、春の雪は降り続いていました。
【沙河】昭和四〇年~昭和五〇年 (十)③
入学式へは母と二人で出かけた。
小学校の校舎は木造だったが、とても大きかった。
先生方に案内されるままに、自分の教室を見て、それから体育館で行われた入学式に出た。児童が集まっていた体育館の中は、薄暗く、寒かった。窓は多かった。外は雪が降っていた。
式の後、新入学生と父母と教員との記念撮影があった。その写真に写っている私は、自分の周囲で起こっていることを理解し始めたかのような、不安そうな表情をしている。
私の小学生生活が、その日から始まった。
「沙河」(暖淡堂書房)から
*☺☺☺☺☺*
家に戻って、着替えた後、鶏小屋にいる祖母のところでしばらく話をしていた記憶があります。
そのときの祖母は、小学生になった僕のことが誇らしいような、嬉しいような顔をしていました。
母と二人で行った小学校の入学式
タイツについた泥はね汚れ【沙河22】
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