いわゆる早生まれだったので、同級生の中で小さい方でした。
ずっと家の周りで遊んでいただけなので、体力もありません。
それで、通学で歩いて学校まで行けるかどうか、心配されました。
そのくらい、頼りない小学1年生でした。
【沙河】昭和四〇年~昭和五〇年 (十)④
私の通学に不安を感じた父が、時々私を車で学校の近くまで送ってくれた。
父はその頃も化学工場内で務めていた。出勤時に私を伴い、途中で車から下ろしてくれたのだ。帰りは自分で歩いて帰った。片道、やはり三十分くらいはかかってしまった。道端の草をむしったり、用事もないのに途中で少し引き返したりした。言葉通りに、道草を食っていたのだ。
教室では休み時間もしばらくは一人きりで過ごしていた。
同じような年頃の子供がたくさんいる中での過ごし方がわからなかった。
机が並んでいるのが面白かった。机と机の間に立ち、両手を左右の机について腕を伸ばすと、身体を浮かせることができた。身体が小さく軽かったからだ。
そうして足を前後に揺らした。何度か足を揺らすと、次の机の所に移動した。そんなことを繰り返しながら、並んだ机の間を移動していた。
ふと気がつくと、私のすぐ側で、私の真似をしている子供がいた。しばらくは何も話さず、一緒に机の間を移動した。やがてお互いにスピードを上げ、競走するような形になった。楽しくなり、私たちはいつか笑っていた。
彼は、私の最初の友だちになった。家に帰ると、友だちと遊んだことを話すようになった。家族は安心したことだろう。
「沙河」(暖淡堂書房)から
*☺☺☺☺☺*
小学校は、行きたくないと愚図ることもなく、わりと楽しげに通っていたと思います。
それなりに友達もできて、遊んだりしていました。
まあまあの小学校生活のスタートだったのではないでしょうか。
小学校で初めてできた友達のこと
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