緩やかにずれる
夏の夜
しつこく続く歯茎の痛みが
「私」の中の何かをざわつかせ
それに激しく促されて
不意に
前のめりになりながら
遥かな涯の叫び声を聞きながら
「私」と「身体」が
緩やかにずれる
痛みとともに
置き去りにされたのは
「私」、の方だった
*****
いつまでもそこに残っているものは、「思い」だけ。
「感覚」だけ。
乗り物と思いがちな「身体」は、気がつくと先に進んでいる。
そして、けっして振り返らない。
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