こんにちは、暖淡堂です。
書棚の本、結構埃を被っています。
目についたものを少しずつ引っ張り出して、ブラシで埃落としをしています。
今回、引っ張り出したのが
「御書物同心日記」
出久根達郎さんの作品です。
講談社文庫版で、2002年12月15日に第一刷発行となっています。
ものすごくざっくりというと、主人公の丈太郎は御書物同心。
呑気で軽い「中禅寺秋彦」を描くとこんな感じかもしれません。
この本を読んだ頃は、まだ時代物をそれほど読んでいませんでした。
それで、内容が頭に入ってこないところも多々ありました。
江戸の街の位置関係もよくわかっていなくて、例えば四谷と書かれても、江戸城からみてどのあたりなのか、とかまったく知らない状態で読み続けていました。
それでも、出久根達郎さんの文章はとても読みやすいですね。
時代物ですが、剣戟はなく、それでいてついつい引き込まれる事件が起こる。
そんな作品です。
一文引用してみます。
「肺病の者は唾が痰になるのでしょう。子供の頃、近所に同い年の男児がおりましてね。親は私の屋敷に出入りしていた商人で、時々、親についてくる。それで親しくなり、お互い親の目を盗んで、遠くに遊びに出たものです。その子に教わったんですよ」
この少し前の部分に、唾を割下水に吐いて、それが固まったままか、散るのかを見るということをしています。
散ると健康、固まったままだと肺病である、という占いをしてからの台詞になります。
「御書物同心日記」 出久根達郎【暖淡堂の書棚】
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。