砂/川
帰れ
と言う
薄い布団に
乾いた指を重ねて
窓でカーテンが揺れ
あの日、僕/祖母を置き去りにした
祖母/僕は
病室の
重すぎるドアを閉め
一段一段が高すぎる階段を
飛び降りるように
外へ出ると
短い影が
鍵を、
と囁く
振り返ると
古く低い家の窓
湿った仏間に横たわる
影が先に動き
ゆっくりと
白い目を開く
僕の背中を
なにかが剥がそうとする
鍵を、
鍵を、
僕はポケットに入っていた硬球を
窓硝子に叩きつけた
砕けたのは
重く砂の詰まった
あの日、一度だけ振り向いた目
ここ、に置き去りの
【現代詩】「雨に埋る空洞」
汽車に乗ってここから立ち去る子供たちのイメージ
現代詩の試み
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