安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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【現代詩】「男鹿線」 東北を一人旅したときの旅情にのせて 現代詩の試み

男鹿線

 

かたん かたん と走る 列車の中に

どこからか 晩秋の北国の 冷たい風

 

と、通路をはさんだ 向かいの座席に

ぽつんと一人 制服の少女

 

きっと さっきまで にぎやかに

おしゃべりをしていた その 一人

 

本を読む 一人旅の僕に

その声は 遠く 聞こえていた

 

友達はみんな 途中でおりて 一人の少女は

ゆっくりと 縮んでいるようにみえた

 

でも それが 彼女が 

自分と 向き合った時の ほんとのおおきさ

 

少し開けた窓から なにかを探している

吹き込む風に 少女の髪が 揺れる

 

と どこからか とんぼが飛んできて

ふっ と 彼女にとまった

 

彼女は とんぼを 見つめると

そっと手のひらで包み

 窓から

 逃がした

 

ふいに 僕の中の 冷たい/銀色の 液体が

きぃん と 揺れた

 

ああ 君は そのままで 

その やさしさを

 

いつまでも

 

僕は 旅を続ける

       つづける から

 

*****

 

 

秋田県内を一人旅したことがある。

見知らぬ土地の宿で、酒を飲みながら過ごしていた。

そして、昼間に見た風景を、なんども繰り返し思い出していた。

 

詩でも書こうか。

そんなふうに、ふと思うことがある。

そして、急に酔いが回ってくる。

 

書こうと思って詩を書くのは、そんな夜である。 

 

 

 

 

 

【現代詩】「男鹿線

東北を一人旅したときの旅情にのせて

現代詩の試み

 

またお立ち寄りください。

どうぞご贔屓に。

 

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