不 断/自 同 律
…それは 皮膜の 最も薄い場所を 探している ほら 走っている
…しかし、目にみえないこと、経験を欠くことを根拠に結論したくない。そこで、我々は、比較的理解され易いと考えられるものを取り扱うことにしたい。これまでの議論から、ここで取り上げるのが適当と考えられるからだ。それは次のような問いである。
「君は我々なのか。」
…今
気を抜くと 落ちる
ずるり と 落ちて
木の 床を 流れる
その 血の匂いに
それが むくりと頭を上げる のが…
…気をつけろ、先手でいくしかない、徹底しろ、始めたからには…
…であれば「私は君か」ないしは「君は私なのか」という問いには、容易に答えうるということがわかる。それは厳密にそうであり、まさにそのときそうではないのだ。これは意識の経(継)時性を考慮したさいにいっそう明らかになる。つまり、瞬間の意識は錯綜する紐帯の接触点である。しかしながらこれを無条件に拡大して解釈に利用することはできない。依然として次の問いは残される。
「君は我々なのか。」
…確かに、知っている、気づいているのだ…
…しかし…
…やはり、明らかになってしまうのは、窃盗の事実である。我々は常に、この窃盗の被害者である。しかし、この告発にも、それはただ沈黙するだけで…
そこ/ここ/そこ にいるのは だれ ずっとこちらを どうして このことばを えらんだのだろう それは このんだのだろう しかし ことばにはりつく ちょくぜんで ねじまげることも できる ほら
…という皮袋になるのだ。ぬるい水を一杯に詰め、揺するとじょぶじょぶと音をたてる一つの皮袋に。そして、常習的窃盗者に立ち向かへ。縫い目を染み出した赤黒い水でそいつの手を汚すのだ。うめき声のようなものだけが、我々に固有の…
…でも、逃げきれない、気がする…
「大酒や、時には、命を失いかけないような危険や恐怖も試してみました。でも、だめでした。こわい、とか、ぼくは、とか、いやだ、とか。すぐに、そんな虫達が肌の下にわいてきて」
犬が 怯えた目で ふりかえる
濡れた 赤犬が
いや 笑って
…いらいらする
指先の皮が剥け 黄色い脂肪が流れ出し 虫に食らいつかれた 汚れた 言葉が 平面に 溜まる
…ほら 指はもう 次の言葉を書いている
すでに 知っているのだ それは
穴 を開けろ がりがりと 穴 を
そして 紙の裏に 流し落とせ
そこで こっそりと 聞き耳をたてている
「君は、我々なのか。」
…我々こそが 告発されるべきなのか
…逃げきれるのか
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【現代詩】「不 断/自 同 律」
いつも同じであり続ける自分からの逃避のイメージ
現代詩の試み
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