こんにちは、暖淡堂です。
京極祭を極私的に楽しんでいます。
読んだものをすぐに忘れてしまうので、エンドレスに続けられそうです。
老後につながる楽しみになっています。
で、最近読み終えたのが
「塗仏の宴 宴の支度」
京極夏彦さんの作品です。
講談社ノベルズで、1998年3月30日に第一刷発行となっています。
この本も厚い。そして重たい。
もし「塗仏の宴 宴の始末」と合わせて一冊になっていたら、オーバーな言い方ではなく、建材のレンガなみ。
これを通勤電車の中で、片手で吊り革につかまり、もう片手で読むとすると、結構な筋トレになります。
昨年、腱鞘炎をやっているので、要注意ではあります。
それでも、ついつい読み続けてしまうくらいに面白い作品です。
中程から引用します。
「ですから、この世には不思議なことなど何もないとーーそういうことですよ旦那」
京極堂は振り向きもせずにそう云った。
そして木場は物凄く凶暴な顔になった。
(「塗仏の宴 宴の支度」講談社ノベルズ、p483)
この場面、東京警視庁の木場刑事が、ある女性から相談を受けたことについて、京極堂(中禅寺秋彦)に助言を求めているところです。
この女性は、ある人物に、日々の生活の全てがのぞき見られているようだという相談を木場刑事にします。
実際には、本人でなければわからないようなことまで、微に入り細に入り書き綴った手紙を、この女性に送りつけてくる。
そのからくりの仕掛けについて、木場刑事が、京極堂の言葉によって気づいたところですね。
「塗仏の宴 宴の支度」では、続く「塗仏の宴 宴の始末」のために必要な状況や登場人物のほとんどが登場しています。
また、「塗仏の宴 宴の始末」に初めて登場する状況や人物は、さらに以前の作品に根を持っている状況や人物だったりします。
複雑に錯綜しながら、次第にどの出来事からも目が離せなくなっていく。
そんな作品になっています。
「塗仏の宴 宴の支度」 京極夏彦 【暖淡堂の書棚】
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。