帰省/反復
玄関口に辿り着くと、鞄を持つ手に、再び力が入る
玄関を開けると、また新たに旅立つ
両親に迎え入れられ、孫の成長を喜ぶ声を聞く
すっかり小さくなってしまった家具や
両親の姿を見ながら、用意されていた食卓に着く
杯を手にとりながら、一年を振り返っていると
心は、もうこの家を離れる時のことを考えている
旅立ちが、また繰り返される
何度も帰り着くことは、新たな旅立ちの始まりで
いつまでもあてなくさまようことは
いつも〝ここ〟にいること
僕は、帰り続けることで、旅立ち続けているのだろう
帰り着くためには、あの遠い涯にまで
行かなければならないということだろう
玄関口で、再び、鞄を持つ手に力をこめる
【現代詩】「帰省/反復」
いつまでも本当には辿り着けない遠い涯のイメージ
現代詩の試み
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