層 音 界
白色層音。果たされない今(時間発展する純粋過去)、あるいは宙吊りの、不定形な平面の群。意識(またはその対象となるもの)は、どのようなかたちであれ、その一部分でしかない(だから、語られない(ことにより示される)真空領域の問題でもある)。
表面を裂き、可能態のすべてを超えかねないほど速いもの。
あるいは限りなく近くにあり、視野を塞ぐもの。それらの摩擦により立ち上る異臭。
単独では意味をなさない、が、で、は、より、など。しかし、あきらか に 耳底 に 残る。
それはむしろ、造船技術/排除体積の領域である。また、ふさわしくは古代音楽/個別音階の。
表面に塗る、重い油。潤滑。(ぬるく泡立つ)水銀を押し込めた皮膚を維持するための装置。
視野の周縁部にある、暗く波打つひだが生み出す波。その捕捉器官。滑らかな機械。
「普遍文法。肘、膝、舌、まぶた、のような関節を折曲げる時、聞こえる声。その声は、なにかを乗り越えることなく現れる、すでにそこにある平面の皺である。それは、青暗い早朝、微かに聞こえてくる鴉の鳴き声、規則的なリズムのそれと、驚くほど似ている。人体は、満たされた空洞であり、そのなかを常にある流れが流れている。それがたわめられ、細められ、暗い洞窟が鳴るように、我々は声を発する。それは記憶の装置を欺き、抜け駆けする、数少ない方法の一つ。滑落。」
雨(白色層音)。雨に埋る空間で踊る、青い特異点。
あらゆる可能性はすでにそこにあり、凝集し、浮遊/滑空する機会を震えながら待っている。
立ち上がる影は、残された空隙であり、その姿は常に後ろ姿である。
ほとんどの書かれた言葉は、すでに滑り落ちたもの(陽電子(真空より跳躍するもの)の軌跡)を示すのみであり、書かれた文字(引っかかり(吃音)と交叉)にはその逃走/落下距離、ひろがり、その他いろいろな、すでに積分された全体の一部、接線の勾配にすぎない微分量としての示量性量が満ち、表面に、境界(落下の勾配)のあきらかな、切り取られた色彩が貼りついている。
しかし、その語間(白色の紙面)は、いつ凝集し、滑り落ちるのか、予測不可能なほどの、いまだ積分されえない示強性の微分量が溢れ。
衝動的多弁に紛れ込んだ無限小領域の中性子。ぐつぐつと泡立つ転移点。
「白色(象牙)層音。その中に展開される諸現象の場を、仮に層音界と呼ぶことにする。鴉の問題を思い起こしていただきたい。それは、視野の周縁部でうごめく、みている、聞き耳をたてている何者かに対し、逃走で挑む、最後の闘争の場でもある。なのに、それは何回も引き剥がされ、落ちて…
【現代詩】「層 音 界」 物理化学教室のノスタルジーと重たい液体のイメージ
現代詩の試み
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