一人/擬装
(…「穢す目」…
(…薄く透き通る肌…
(…重く押さえつけ…
(…焦げ跡を一筋残し…
(…ゆるゆると滑る…
紐が、捩れながら束になり
甘く、肉の焼ける匂いを、追い
分散し、たくさんの、蟻になり
穴を開け、押し広げ、潜り
「層」の断片を、掘り出し
噴き上がる、赤い腫瘍
震える蟻塚
(…「洞窟」…
(…湿った風に怯え…
(…深い溝…
(…冷たい川…
(…何度も阻まれながら…
(…むかし眠ったはずの…
(…窪みを探す…
遠く、厚く溜る「底」で
「私」達の、群が渦を、巻く
冷たい指が、胸を、裂き
「横顔」の、「親」、達の
壁を突き、抜ける、と
なにか、を取り囲む「私」、達が同じ、顔で
「私」を、押し返す
(…「偽る鏡」…
(…「私」達の
(…無数の胚が…
(…積み上げられて…
(…中心から腐り、流れ落ち続け…
…また一人、「私」が、浮かび上がる…
*****
いつも同じ顔であるということの苦しみ。
いつも自分になってしまうという無力感。
もっと、緩やかに解けるように、様々なものになってしまいたい、微かな、底の、衝動。
それに身をまかせることに感じてしまう、激しい抵抗。
すべては偽装である。
自分と、自分以外の境界に生じた、反応の結果としての姿である。
そのような反応が引き起こされたことを、ただ楽しめばいい。
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【現代詩】「一人/擬装」
自分の内側と外側が反応を起こし、
その結果として「私」の姿が現れるイメージ
現代詩の試み
この「私」の姿は、自分の内側にあるものがそのまま現れたものではなく、外側と界面で反応してできた結果。
内側の自分の思いだけではどうにもならない部分がどうしても含まれます。
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。
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