ベンチ
目の前を
たくさんの人たちが
通り過ぎていく
僕はベンチに腰をおろしたまま
それを
ただ見ている
少しだけ
目を閉じてみる
異国の言葉が
周囲を埋めていたことに気づく
そして
ここが
僕のあの国に
つながっていることにも
きっと、あの部屋で
僕の家族も
目を閉じて、耳を澄ましている
*****
2001年9月11日の後。
僕は一人でヨーロッパのいくつかの街を移動していた。
空港のベンチで、周囲にいる人たちをただ見ている時間が長かった。
家族連れを見ると、僕は自分の家族を思い出した。
そして、遠く離れている家族が過ごしている時間を思った。
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