秋の駅/豊沼
空間を埋めるいくつもの勾配から
そのざわめきから
瞬間に凝り、ゆっくりと
とてもゆっくりと
滑り落ちる小さな無数の滴の群を
その静かな流れを
層流状態に落とし込むのは
冷ややかな激しさ
滴は加速する螺旋を描きながら寄り集まり
青い球状の塊になり表面に漣を走らせる
そして強度の変化域に捕らわれ
激しく揺すぶられると
歪みながら縮み
黒変した後
弾ける
その時に失われる
わずかな質量が
その涯を、ここ、に手繰り寄せる
その風は、線路の上を
あの日の「私」の後を
追って、行った
そして、何度もここに帰り、
ここから始める
この、「私」への収縮
あの春、の、さびしげな背中と
あの夏、の、
【現代詩】「秋の駅/豊沼」
渦を巻く季節の中心にある故郷のイメージ
現代詩の試み
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