安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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【現代詩】「横断する楔」 層間を高速で滑り落ちる硬い楔のイメージ 現代詩の試み

横断する楔

 

楔。

水晶の楔。

回転する水晶の楔。

遠い分光器。白色の空間から色彩を削り出し、撒き散らす。中世都市設計図の裏面。深い空隙。不意に照らし出される、底の獣。黒く、強くしなる尾。硬く、張りつめた肌。冷たく、湿って…

 

狂い。

色調の狂い。

滑落する色調の狂い。

明るい隣室。ふと、薄く、重なる。祖母の死んだ暗い夜、何が聞こえた。台風の荒れる夜、部屋の隅で、何を見つめていた。この、目、か、この、目、かこ、の目。そんなもの、はじめから、なかった…

 

旋律。

反復する旋律。

重く湿った反復する旋律。

身体の層間に沈む、律動。なぜそれは、暗闇に低く響くのか。逃げたものが押しのけた空間。横断する楔が削り出した空洞。熱い溶岩の駆け抜けた痕。そこに、何を見つけようとして、神経が唸るほど目を凝らすのだ。滑落。進化はなぜ、神経を脳につなぎ、身体の先端にまで延ばしたのか。指先は何を見ている。足元の影に落ちた目は、なぜこちらを見上げている。そんなところには、いない…

 

不意に 捨てられた船

 腐朽船 波打ち際に 崩れかけ

不意に 振り返る子供

 遠い 目 寒い夏に 置き去りにされ 

不意に 彷徨う人形の根 暗い林 

 無数の蛇が つがい よじれ 生臭い

 

 もういい

 やめてくれないか…

 

意識(白色層音)において、層状構造にかかる負荷への応答挙動、ダイラタンシー。残留応力。底の獣が逃げ去るとき。

崩れるのか。だめなのか。

もう、だめなのか。

そこで、読んでいる…

底の、獣…

 …………

 

 

 

 

 

【現代詩】「横断する楔」

層間を高速で滑り落ちる硬い楔のイメージ

現代詩の試み

 

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どうぞご贔屓に。

 

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