北方謙三さんの「楊令伝」、全巻再読しました。
二度目も面白く読み進められました。
年で、物忘れが激しくなっていることもあるかもしれませんね。
「楊令伝」は「水滸伝」を承けて続けられたシリーズ。
楊志の子として育てられた楊令を主人公としています。
「水滸伝」の登場人物が多く引き継がれていて、全体としてのシリーズものとしても楽しめます。
また、「楊令伝」の初めの頃には岳飛も登場します。
続くシリーズの物語も並行して語られている形ですね。
北方謙三さんの一連の作品を読んで、感じたことは以下になります。
国を土地(領地)として考えない
北方謙三さんの多くの作品に共通して描かれているのが「交易」の力。
「水滸伝」では、それは「塩の道」として現れますが、「楊令伝」ではさらに発展して「交易の道」となります。
その交易で国を運営するというのが、「楊令伝」の一つのテーマです。
通常の国は、帝がいて、支配される人々がいて、その人々が暮らす土地があります。
人々は税を納めています。
それが通常の国の形。
それを、人々が納める税を極力少なくして、交易で上がる利益で国を運営する。
そのような試みが「楊令伝」で描かれる梁山泊という国で行われます。
それは楊令を中心にした梁山泊の面々の夢でもありますね。
しかし、その夢には、この「楊令伝」の最終巻で一つの決着がつけられます。
引き継がれる親子の物語
北方謙三さんの「水滸伝」のシリーズには、たくさんの親子が登場します。
そして、さまざまな思いが引き継がれます。
楊令は楊志の子。
直接の血縁はありませんが、子として育てられます。
楊志は梁山泊の敵、宋の青蓮寺が送り込んだ刺客との死闘の末、楊令の目の前で死にます。
楊令は容姿や、その他大勢の死んでいったものたちの夢や思いを背負って、梁山泊を率いることになります。
そそられる食べ物
北方謙三さんの時代物に共通する食べ物で、とてもそそられているものがあります。
それは、「野兎」。
野兎を捕まえて、皮を剥いで、木の枝に刺し、焚き火で炙ります。
炙られると、油が火に落ちてジュっという。
読みながら、いい匂いが漂ってくるようです。
それに塩や香料をふりかけてかじりつく。
それがとても美味しそうです。
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北方謙三 「楊令伝十五 天穹の章」
夢として伝承されるもの
引き続き「岳飛伝」を読み進めます。
その後の「チンギス紀」はまだ終わっていないので、その展開も楽しみです。
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。
