「おひとりさまの老後」の上野千鶴子さんと、あの古市憲寿さんの対談です。
テーマは「介護」。
上野さんは、現状の社会制度やご自身の老後を見すえてのご発言。
で、古市さんは、ご両親の介護がテーマになっています。
お二人の視点の違い、発想法の違いなどが楽しめます。
世の中に対する余計な忖度のない発言が交わされていて、面白いです。
その上で、世代間の「老後」、「介護」、「家族」、「労働」などについての考え方が大きく異なることも読み取れます。
自分も、残り数年で定年。
自らの暮しを考えながら、とても興味深く読み進められました。
この本で印象に残った内容は以下です。
社畜と専業主婦は既得権益
夫は大手企業に就職して定年まで勤めあげる。妻は専業主婦として夫が働き続けることをサポートする。このスタイルは、日本では戦後の一時期にのみ成立したもの。
現在は、大手企業での職自体が安定ではなく、妻も働かざるを得なくなる状況が容易に起こるようになりました。
社畜に甘んじて働き続ければ、退職金がもらえ、その後の生活にもある程度の目途がたちます。社畜と専業主婦という立場は、雇用が流動化した現在では、むしろ既得権益ともいえるのでしょう。
不安はあるが不満はない
現在の若者たちは、将来に対する不安はあるが、現状には大きな不満はない。両親が亡くなった後、自分たちがどのように暮らしていけばいいのか、その部分の不安定さに対する不安はあるが、今よりも希望がもてる未来があるわけではなさそうなので、現状に満足すべきという意味で、不満はない。
消極的な形で、現状に不満はないとのことのようです。
情報生産者としての研究者
本書中の上野さんの発言の中にあった言葉です。情報生産者。ブログを書いたり、電子書籍を作ったりするのは、この情報生産者に当たるのではないかな、と思い、特にここに抜き書きする次第です。
自分自身も、研究者という自覚があった時期もあります。
その期間、価値ある情報発信ができたのかな、なんて、考えてしまいました。
そんなことも考えられた、楽しい読書になりました。
古市憲寿さんがどのような発言をする人なのか、感じがつかめた気がします。
他の本も読んでみようかな。
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。