K町駅で、よく事故が起こる。
車両トラブル、人身事故、線路内落下、それに自殺未遂。
そのたびに、電車が止まる。
電車内には様々な人が乗っている。
その人達が乗る電車が、事故で止まる。
しばらくして電車は運転を再開するが、止まる前と後では、その人達の生きる世界が変わってしまう。
まるで線路を乗り換えるみたいに。
*
短編集だが、いずれもなぜか事故の多いK町駅周辺を舞台としている。
どの作品にも、平均的と思われる人たちからはちょっとずれたような人物が登場する。
そのどれもが魅力的だ。
そして、爽やかな読後感が残る。
「あ」の作家を読もうと思わなければ、この作品とも出会えなかったであろう。
今年の秋から冬にかけての、大切な見つけものである。
電車が止まる前と後 阿川大樹 「終電の神様」
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