安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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2017年12月 ミュンヘンのホテルから

2017年12月ミュンヘン

2017年12月ミュンヘンのホテルから

2017年は、一人で海外をうろつくことが多かった。

どれも仕事の出張で出掛けていたが、好んで一人切りで歩き回っていた。

 

会社の現地拠点の人々と打ち合わせをしたり、特許関連の現地事務所を訪問したりした。

少しの英語と、わずかばかりの度胸と、抑えきれない好奇心で動いていた時期でもあった。

 

出かけると、ホテルで一人きり、静かに過ごす時間がとても好きだった。

街中で買ってきた現地のビールとパンやスナックを友に、のんびりとしているのだ。

 

ヨーロッパでは、大概の街で、中華料理のテイクアウトができる。

日曜日でなければ、食事に困ることはほとんどない。

 

そして、現地語で話し続けるテレビを観るのも楽しみだった。

日本のアニメが、現地後に吹き替えされて放送されていた。

キャラクターの声が違うと、まったく別物に感じられるのが不思議だった。

 

この年、12月下旬にミュンヘンを訪れていた。

街中はクリスマスの雰囲気で満たされていた。

夕暮れ時になると、街全体がとても綺麗だった。

そして、時々雪が降った。

 

朝、ホテルの窓から向かいの建物を見た。

屋根に雪が薄く積もっていた。

靴のことをちょっとだけ心配したことを覚えている。

 

そして、自宅にいる家族のことをしばらく考えた。

 

*☺☺☺☺☺*

 

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【現代詩】「軽い朝」 思いの隅に溜まっていたもののイメージ 現代詩の試み

 

軽い朝

 

いつもより眠れた

身体がゆったりと

よくのびてい

 

今日はこのまま

眠っているように

過ごそうか

 

軽く

あそこまで行ける

そんな気がする

 

ああ、雪が

降っていたのか

 

それで

こんなに

軽いのか

  

*****

 

記憶とは、頭のどこかに記録されているものではなく、いつもずっと考え続けているものだと思うことがあります。

考える部分が小さいだけで、いつもそれを考えているので、覚えている。

だから、それを大きくすることで、思い出すことができるということで。

 

忘れてしまうというのは、いつもずっと考え続けているということをしなくなったこと。

それを、もう考えることをやめてしまったということ。

そうすると、もう思い出すこともできない。

 

そんなものが、増えている気がしています。

 

 

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夜中聞こえていた遠い声 暗い中での捜索 【沙河36】

北海道砂川で過ごした昭和の日々

  

近所の大人たちが夜遅くまで、外で何かを探しているようでした。

呼びかけるような声が、寝ている僕にもずっと聞こえていました。

なにが起こっていたのかは知らされていませんでした。

いつもと違う、とても不安な夜でした。

  

【沙河】昭和五一年~昭和五二年 (十六)②

  

 それからは沢井さんと一緒に帰ることはなかった。

 小学校に入学してから、一度も同じクラスになったことがないので、学校では遊んだこともなかった。時々は、帰り道で、僕のずっと前を歩いているのを見ることもあった。だけど沢井さんは僕には気づかず、僕も追いついて話しかけることもなかった。

 その年は、秋が来ると、急に気温が下がった。時々、霜が降りるくらいに寒くなった。居間ではストーブを点けることも時々あった。

 夜、電話が鳴った。

 母が電話に出て、少し話をしていた。それから父にかわった。

 私と妹はテレビを観ていた。少し前に妹が拾ってきた子猫が、居間を走り回って遊んでいた。子猫を拾って来た時、私は元のところに置いて来いといった。飼っている猫が家にはいたのだ。妹は泣きながら、祖母と話していた。

 結局、子猫は家で飼うことになった。家にいた猫とは、喧嘩をすることなく、仲良くしているようだった。その子猫は、家にいた猫とも、家族の誰とも、すぐに馴染んだ。

 私は、子猫を置いて来いといったことを、少し後悔した。

 父が身支度をして出かけた。それからしばらくして、近所のおじさんたちが大きな声を出して外を歩き回り始めた。

 おーい、おーいと呼び掛けていた。

 寒くなると、よく田んぼの畦道で古タイヤを燃やした。煙で空気を暖めて、霜が降りにくくするのだ。そんなとき、大人たちは近所の人に呼び掛けて歩く。

 きっと、そのために父も歩き回っているのだ。

 今夜も寒くなりそうだからだろう。そう思いながら、私は布団に入っていた。

 大人たちの声は、一晩中聞こえていた。

  

「沙河」(暖淡堂書房)から

 

   

*☺☺☺☺☺*

    

  

翌朝、子供たちにもそれとなく出来事について知らされました。

そのときになにを感じたのか、正確には思い出せません。

どうしようもなく、とまどっていたのだろうとは思います。

  

夜中聞こえていた遠い声 暗い中での捜索 【沙河36】

 

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