柴田理恵さんの本「遠距離介護の幸せなカタチ」で「人生の撤退戦」という言い方を知った。その言葉を頭の中で繰り返しつぶやいているうちに、これがとてもいい言い方なのだと思うようになってきた。
老後の生き方について「終活」というのもある。こちらはなんとなく、残される人たちに迷惑をかけないように、できるだけ自分で片付けてから逝きましょう、などと言われているような気になる言葉である。機嫌のいいときに聞けば、なんとなく聞き流すこともできるが、機嫌が悪ければ、余計なお世話だ、とでも言ってしまいそうな言葉でもある。
「Die with zero」などという言い方もある。死ぬまでに、自分のお金はちょうど使い切ろう。そんな意味だと思っている。これもまた、余計なお世話で、お金の使い方くらい、自分で決めさせてくれ、放っておいてくれ、と言いたくなる。
一方で、「人生の撤退戦」。いいではないか。やる気がでてくる。なんとかして勝ちをおさめたいものだと思ってしまう。撤退は難しいものだ。戦巧者でなければ惨敗してしまう。逆に撤退に成功すると、名将と呼ばれる。宮城谷昌光氏の「沙中の回廊」の士会のように。
そうだ、自分は士会になるのだ。自分自身の人生の撤退戦において、殿軍の将となるのだ。見事な撤退を、してみせよう。
還暦を十分にすぎた今、そんな気になっている。

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「人生の撤退戦」:人生の主人公として生き抜くために

dantandho
