安心感の研究 by 暖淡堂

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「海を破る者」 今村翔吾 信じることからはじめる

今村翔吾「海を破る者」


こんにちは、暖淡堂です。
今村翔吾さんの作品、割と続けて読んでいます。
間に他の作家の方の作品も混ぜながら。
そうしないと今村翔吾さんの刊行済み作品を一気に読んでしまいそうなので🤣🤣

で、今回は「海を破る者」を読みました。
時代は元寇の頃。
主人公は承久の乱で後鳥羽上皇方について没落した伊予の御家人河野家の当主六郎。
この六郎が、自らの生き方を貫きながら、家の再興を図る姿が描かれます。
家の結束が回復する中、六郎が率いる河野家の人々は、元襲来に対する攻防線の先頭に立ちます。

「元寇」をテーマにした作品はいくつか読みましたが、その多くが強大な元軍に対抗するための戦いに主眼が置かれていました。
いかに元の襲来に備えるのか。
元軍と日本の武士団の兵力の差はどのくらいあるのか。
その辺りが描かれるものが多かったかと。

今村翔吾さんの「海を破る者」は、戦の場面もあるのですが、それが主眼ではなく、むしろ全編が「信頼の回復」の必要性を語っています。
現在、世界の様々なところで紛争が起こり、人々が対立しています。
そのような状況はほとんどの人は望んでいない。
(一部、紛争当事者から収益を得ようとしている人たちはいますね。そういう人たちにとっては、市場の拡大は好ましいのかもしれません)
そのような状況で、お互いの信頼を回復していくことはとても難しいものです。

河野六郎の生き方は、一つのヒントを与えてくれます。
元寇の戦さの最中に、河野六郎率いる河野の人たちの行動が、本書の終盤に描かれます。
物語ではありますが、その行動の中には、未来に対して抱くべき希望の芽があるような気がします。

なんだか、現在の紛争は、気に入らない人を見つけて、力づくで言うことを聞かせて、その後も力で押さえ込むことを目指して行われているようなものが多いように感じます。
まあ、戦争とはそういうものでしょうが。
それを、今、本当にやらないといけないのか。
なんだか、とてもモヤモヤします。

そんな時代にこそ、今村翔吾さんの「海を破る者」を読む価値があると、思います。

 

「海を破る者」 今村翔吾
信じることからはじめる

この作品を読みながら、井上靖作品の「風濤」を思い出しました。
「風濤」も、静かに描かれた元寇ではありました。

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