安心感の研究 by 暖淡堂

暖淡堂の雑記ブログ

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触媒の開発研究と他者特許の追試:権利侵害になる場合、ならない場合

特許の追試が特許権侵害とならない場合

触媒研究における第一歩は「先行技術、従来技術の把握と理解」になる。
先人たちによって積み上げられてきた「知識の山」から、自分の目的にあった原石を掘り出すところから始まるのだ。

他者特許の追試が許される根拠

「先行技術」の記録は、特許文書データとして残されている。
特許制度は「発明の保護」だけではなく、「産業の発達」のためにもある。
そのため、特許権を取得しようとする者には、国防上差し障りがあるなどの特別な理由がある場合を除き、特許出願内容の開示が義務付けられていいる。

産業の発達のためには、特許に書かれていることを足がかりに、さらに発展させることが許されている。
まず、特許文書データから、自分の目的に合ったものをいくつか選び出す。その上で、一番近いものを読み込む。
その際に、文書に書かれていることが、どのようなことなのか、実際に試して見ることが多い。これが、特許の追試である。
特許の追試は、以下のために行われる場合は、特許権侵害とならない。
特許性(新規性・進歩性)の調査:特許が権利化されるにあたり、新規性・進歩性が求められる。これを第3者が確認する目的で実験を行うことがあるが、その実験は特許権侵害とならない。
発明の完成度の確認:特許明細書に記載されている内容が本当に動作するか、効果があるかを確認するための実験も、特許権侵害にならない。
改良・発展のための研究:特許明細書に記載されている内容を基礎に、さらに優れた技術を開発したり、新たな用途を見出したりするための研究を行うことも、特許権侵害にならない。

この最後の「改良・発展のための研究」が、触媒研究において、実験室で他者特許を追試することが許される、一つの根拠となる。

他者特許追試が特許権侵害と判断される例

以下のような場合は、特許権侵害と判断される可能性が高いので、避けるべきである。

自社の「事業(営業)」の内容としての実施:特許に記載されている内容を再現して、得られる製品の製造販売を行ったり、自社製品の製造過程に利用して、製品製造を効率化するために使用する行為。 または、特許で開示されている装置や試薬などを、自社製品のための道具(ツール)として使うこと。
あくまで、発明として開示されているそのものを研究対象として、さらに技術を高めるための行為に対して、特許侵害とはしない、ということをよく理解しておくべきである。

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触媒研究の第一歩は、先行技術の追試ではある。とても残念なことであるが、触媒の研究室では、先行技術の追試で終わってしまうことが少なくない。ある触媒特許の記載内容を追試して、うまく行ったら、その触媒成分に別のものを追加したり、他のものに変えたりする。それで新たな効果が示されなかったら、そこで研究を打ち切りにしてしまう。
これは非常に残念なことだ。先行技術に対する理解が浅いといえるかもしれない。確かに、特許明細書には、十分な記載はなく、それを読んだだけでは再現できないことが多い。ノウハウに相当する部分は、記載されていなかったりする。下手にそれを知っているがために、特許に記載されている実施例などの追試がうまくいかなかった場合、ノウハウが記載されていないから再現されないのだ、と言って、検討を打ち切ってしまう。
これは、とても残念なことなのだ。
触媒研究を進めるに当たって、先行技術に対してどのように向き合うべきか。本ブログの別記事で考えてみたいと思っている。

触媒の開発研究と他者特許の追試:
権利侵害になる場合、ならない場合

 

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