こんにちは、暖淡堂です。
あと一月とちょっとで、今の職場を離れて、別の勤め先に出向します。
次の職場では特許法対応が仕事のメイン。
で、その準備として特許法の勉強を再開して(させられて)います。
準備の過程で、面白いと思ったものを紹介させていただきます。
今回は、「特許にならない発明」について。
特許は非常に強い権利です。
発明者が自分の発明した内容を書類にして特許庁に出願した日から20年間、独占的に実施したり、他者に実施をライセンス(許諾)したりできます。
ライセンスは、特許権を取得した人が自分自身で特許の内容を実施できない場合の収入源になります。
ただ、発明は、どんなものでも特許されるのではありません。
まず、特許法における「発明」の定義。
特許法第2条に次のように書かれています。
第2条 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものをいう。
この条文から理解できるのは以下になります。
<自然法則を利用>
自然法則それ自体や自然法則に反するもの、自然法則を利用しないものは特許法の対象としての「発明」とされません。
以下のものが例になります。
・自然法則それ自体:万有引力の法則、慣性の法則、化学のマルコフニコフ則など
・自然法則に反するもの:永久機関(例年、出願があるそうです)
・自然法則を利用しないもの:効率的な勉強方法、経済法則など
<技術的思想>
技術とはどのようなものか、という理解がまず必要ですね。実現したい目的があって、そのための具体的手段であること。さらに実際に利用できるものであり、また知識として伝達、共有できるものでないといけません。
この意味で、以下のものは「発明」とされません。
・技能:フォークボール、カーブの投げ方など
・情報の単なる提示:マニュアルなど
・美術的、文学的創作物:絵画、彫刻、文芸作品(これらは著作権で保護されます)
<創作>
新しく創り出されたものでないと「発明」とはされません。
例えば以下のものは「発明」とはされません。
・天然物の単なる発見:もともとあったものを見つけただけ(人為的に単離された化学物質、微生物やDNAなどは創作にあたる場合があります)
・自然現象の単なる発見:X線が身体を透過すること、など(X線を利用した装置などは創作にあたります)
また特許になる「発明」には産業上の利用可能性も求められます。
その意味で、以下のようなものは特許の対象外になります。
・人間を手術、治療または診断する方法:医師の通常の業務として行われるものは特許(独占的権利)の対象外(医療機器や医薬などは特許の対象になります)
・業として利用できない発明:個人的に利用されるもの(くしゃみの止め方とか)、学術的、実験的にのみ利用されるもの
・理論的には実施が可能であっても、実際には実施が考えられないもの:オゾン層減少を防ぐために地表全体を紫外線吸収フィルムで覆う、など
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特許や実用新案は、方法を勉強したら発明者本人が申請できます。
自分の発明の出願には、弁理士の資格は不要です。
もし「発明」のアイデアがあり、特許出願に関心を持たれた方がいましたら、第二のドクター中松を目指してみてはいかがでしょうか。
こんな発明は特許にならない 特許法の勉強、数年ぶりです
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