湧出/滑落
(…暗い底でゆれる…
(…群れる紐…
(…不意の摂動に苛立ち…
層状の「今」を埋める
(…微少の力達を…
浮かび上がらせた
(…そのいくつかが他を喰い…
膨れ上がり
(…渦を巻き…
煮えた脂を滴らせながら
(…立ち上がり…
そこ、ここ、で崩れ落ちる
(…再び均衡の偽装のもと…
静まり返る界面
…ざわざわと細波立ち…
無数の顔の影が現れ
(…ここ、は…
(…ここ、は…
/と、つぶやき始める、と/
「底」が泡立ち
強く撓る紐の群/乳状突起が
重畳するいくつもの層を突き破り
(匂う口を開け…
(顔に食らいつき…
(裏面から炸裂し…
(紐を追いこして吹き上がる蝶の群…
(渦を巻き…
/・静 止・/
/・逆転する 加速度・/
/・軋みながら雪崩れる紐の群・/
/・「底」に向かって・/
/・収縮する・/
界面に残る無数の穴/語られた言葉が
ゆるやかに凍結し「過去」に滑り込み
また滲み出る
「顔/今」
*****
「言葉」はどこから来るのか。
それは何かから生まれるのか。
それは、意味を運ぶのではなく、何かと何かとのずれを埋めるために、滲み出すものではないのか。
それに意味があると思い込むのは、すでに遠ざかりつつあるものの感触を覚えているからに違いない。
【現代詩】「湧出/滑落」
何かと何かとのずれに染み出したものに意味を見るイメージ
現代詩の試み
言葉は、意味の乗り物でしょうか。
もっと違う、何かと何かのズレのスキマに滲み出した汚れのようなものではないのでしょうか。
汚れにしか過ぎないものに、私たちは頼りすぎているのかもしれません。
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。

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