こんにちは、暖淡堂です。
ブログやTwitterなどで投稿していると、時々目にする「著作権」という言葉。ブログ運営会社の利用規約などには、他者の著作権を侵害しないように注意喚起されていたりします。そう書かれると、著作権法とは「やってはいけないこと」が決められている法律であるかのように思ってしまいます。
確かにそういう一面もあるのですが、本来は著作者の「権利」を定めたもの。著作者は権利を主張でき、その権利を侵害した人に対し、「侵害しないでほしい」と主張できることを取り決めているものです。禁止ではなく、著作者の権利を明確にして、それを国が法律として保障することを主眼にしています。
今回は、著作権法の目次と代表的な条文を見ながら、著作権の全体像をざっくりと説明します。
著作権法目次
昭和四十五年法律第四十八号
著作権法
著作権法(明治三十二年法律第三十九号)の全部を改正する。目次
第一章 総則
第一節 通則(第一条―第五条)
第二節 適用範囲(第六条―第九条の二)
第二章 著作者の権利
第一節 著作物(第十条―第十三条)
第二節 著作者(第十四条―第十六条)
第三節 権利の内容
第一款 総則(第十七条)
第二款 著作者人格権(第十八条―第二十条)
第三款 著作権に含まれる権利の種類(第二十一条―第二十八条)
第四款 映画の著作物の著作権の帰属(第二十九条)
第五款 著作権の制限(第三十条―第五十条)
第四節 保護期間(第五十一条―第五十八条)
第五節 著作者人格権の一身専属性等(第五十九条・第六十条)
第六節 著作権の譲渡及び消滅(第六十一条・第六十二条)
第七節 権利の行使(第六十三条―第六十六条)
第八節 裁定による著作物の利用(第六十七条―第七十条)
第九節 補償金等(第七十一条―第七十四条)
第十節 登録(第七十五条―第七十八条の二)
第三章 出版権(第七十九条―第八十八条)
第四章 著作隣接権
第一節 総則(第八十九条・第九十条)
第二節 実演家の権利(第九十条の二―第九十五条の三)
第三節 レコード製作者の権利(第九十六条―第九十七条の三)
第四節 放送事業者の権利(第九十八条―第百条)
第五節 有線放送事業者の権利(第百条の二―第百条の五)
第六節 保護期間(第百一条)
第七節 実演家人格権の一身専属性等(第百一条の二・第百一条の三)
第八節 権利の制限、譲渡及び行使等並びに登録(第百二条―第百四条)
第五章 著作権等の制限による利用に係る補償金
第一節 私的録音録画補償金(第百四条の二―第百四条の十)
第二節 授業目的公衆送信補償金(第百四条の十一―第百四条の十七)
第六章 紛争処理(第百五条―第百十一条)
第七章 権利侵害(第百十二条―第百十八条)
第八章 罰則(第百十九条―第百二十四条)
附則
著作権法の目的
第一章第一節に著作権法の「目的」が書かれています。
(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
著作権法の目的は「著作者の権利を定め、保護を図り、文化の発展に寄与すること」です。著作物は創造的な行為の結果出来上がるもの。それを作り出した著作者には、自らが生み出した著作物に対する権利を有するべきです。
もし、著作者によって生み出された著作物が、他人によって勝手に複製され、商品にされて、それで経済的な収益や、作品の評価から得られる名声などもその他人のものになってしまったら、著作者はどう思うでしょうか。
とてもガッカリとして、もう創作をやめてしまうかもしれません。そうなると、その人の著作物で感動を得ていたり、生きる励みにしていたり、生活が豊かになると感じていたりする人たちは、もう新たな創作物を得られなくなり、暮らしの色合いも薄れていってしまうかもしれません。
そのような状況では、新たに創作をなそうという人も出てこなくなる可能性があります。文化の発展が阻害されてしまいます。
このような状況にならないように、著作者の権利を法律として定め、国が責任を持って施行することで、文化の発展に寄与しようというのが著作権法の目的です。
著作物の定義
第二章第一節第十条は、著作権法が保護対象とする著作物が例示として列挙されています。例示なので、これらに限られるということではありません。著作物とはなにかを考える際の、大枠の考え方が例を使って示されているという理解でよいかと思います。
(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
特許や意匠、商標などの工業所有権とは違って、著作権は登録する必要はありません。創作が完成した時点で著作物となります。詳細については、改めて説明したいと思います。
著作者の定義
第二条第二節第十四条は著作者について書かれています。本名だけでなく、変名(ペンネーム、ブログネームなど)で発表されたものでも、著作者となります。
第十四条 著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。
著作権法のその他の部分
「目的」、「著作物」、「著作者」の定義に続き、著作者の権利の種類、権利の取り扱い(譲渡や権利の制限もある)、保護期間などが書かれています。著作物の利用にあたっての保証金や保証金管理団体に関する取り決めもあります。後半には違反者に対する罰金や懲役刑なども記載されています。著作権法に違反することで、社会的な制裁を受けることがあることを覚えておいていいかと思います。
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記事を書いた人、つぶやいた人は著作者です。
それぞれ著作権者でもあります。
著作権は、自分が著作者であるという意識で考えると理解しやすいかもしれません。
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