「著作権」という言葉がいつ頃から使われ始めたか、ご存じでしょうか。
著作権は、英語ではCopyright。これの意味は版権に相当します。日本語の著作権を英語にするとAuthor's rightのようになります。
版権といった場合は、出版する側の権利であって、版元としての利益を守るものという内容になりそうですね。
一方の著作権といった場合は、著作物を創作した側に重点があります。創作者の権利を守って、創作を奨励し、文化の発展に貢献してもらおうという趣旨のものになります。
江戸末期から明治初期には、版権という言葉が使用されていて、まだ著作権という言葉はありませんでした。
現在の著作権法は出版する側の権利も、著作物を創作する側の権利にも配慮された内容になっています。
この「著作権」、公的に使われ始めたのは明治19年頃のことのようです。
当時、ドイツのベルリンにおいて開催された「著述及び美術特有権保護万国会議」への日本側からの参加者として在イタリア公使館の外務書記官黒川誠一郎が選ばれました。
黒川氏への会議参加のための辞令が「瑞西国ベルヌ府ニ於テ文学及巧芸上著作権保護条約確定会議ニ付委員トシテ参会被仰付」(明治19年6月10日付官報掲載)であったとのこと。
この会議の後、日本はベルヌ条約に加入することを決定します。そのために国内法を準備する必要がありました。
この国内法の法案作成にあたったのが、明治30年当時の内務省参事官の水野錬太郎。
それまで国内法としてあった版権法の一部改正では国際条約加盟の条件を満たさないため、新規に策定することになりました。
この法律が、日本における最初の「著作権法」となります。
なお、この作業、箱根塔ノ沢の玉の湯の一室を借り切って行ったそうです。
暑苦しい役所の一室では名案も浮かばないから、とのことでした。
「著作権」という言葉が使われ始めたのはいつ?
法案策定の作業を温泉旅館で行なったというのに、時代を感じますね。
皆さん、浴衣で作業されたのでしょうか。
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。
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