少し前のことになりますが、以下のニュースが話題になりました。
バンクシー作品をオークションで落札した人が作品を半分ほどシュレッダーにかけたのですが、そのシュレッダーにかけられた作品がさらにオークションで高額で落札されたというものです。
この出来事を知って、モヤモヤしていました。
著作権と所有権の問題がなんとなくゴチャッとしているからですね。
そのゴチャを試みに解きほぐしてみたいと思います。
改めて「他者の著作物の所有者の権利」の問題
以前の当ブログの記事で説明したように、所有権と著作権はそれぞれ独立しています。所有権者は所有物の処分はできますが、所有している作品に関係する著作権は有しません。
なので、たとえ自分が所有している作品が複製されても、作品を複製した人を所有者が著作権侵害で訴えることはできません。
所有者は所有権のみを持っているだけで、著作権者ではないからです。
では、所有者は、所有している作品を自由にできるか。
著作権者ではないので、著作者名の改変、作品の改変などはできないと思われます。
所有権が渡されたときに特別な契約をしていない限り、作品はそのままの状態を維持して所有されていないといけないでしょう。
シュレッダーにかける行為は「作品の改変」か
所有者に責任がない状況(自然災害、戦争、紛争など)で破壊された場合は、作品が破壊されても著作権侵害に相当する作品の改変にはならないと考えられます。
一方で、所有者が意図的に破壊した場合は、現状を変更してしまうため、作品の改変と理解され、著作権侵害となる可能性があります。
シュレッダーにかけられた作品が、改めてオークションにかけられて、それがまた高額で落札されたということは、新たな芸術作品に作り変えられたともいえます。
その意味でも、この一連の出来事の中で、作品は改変されていると理解してよさそうです。
バンクシーが著作権を主張するとどうなるか
裁判になってみないとわかりませんが、オークションの落札金額をもとに算出された金額に近いものが、バンクシーに支払われることになるかもしれません。
著作権は匿名や変名でも有効です(国によるかもしれません)。
ただし、裁判の秘密性の確保は微妙です。
本人の身元がわからないようにする工夫がされるのかもしれませんね。
古典作品の所有権と著作権
作品の所有者は作品を自由にできる?
形を変えて長く生き続ける芸術作品もあって良いと思います。
戦争や紛争などでの破壊は悲しいですね。
戦争をやめさせる力のある芸術作品はないものでしょうか。
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。
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