八切史観による書物を初めて読みました。独自な歴史観で、教科書に書かれているように歴史を理解している人には若干抵抗があるかも知れません。しかし、教科書も、定説とされているものを選んでいますが、その定説も覆されることがないとは言えません。柔軟に理解していることの方が大切かも知れません。
八切さんは決して源義経がジンギスカンだったとは言っていません。その部分、心配された方、ご安心を。戦前、戦中になされた情報操作などにはむしろ批判的です。
ではありますが、珍説、奇説とされかねないことも多く書かれています。軽い調子で書かれていて、どちらかというと定説を信奉していて、考え方が膠着している人たちへの警鐘のようになっています。
ジョークのようにも読むことができます。ところどころ、出版コード的に大丈夫か、と心配になるところもあります。その辺り、この本が発禁にはなっていないので、機会がありましたらどうぞご自身でご確認ください。特に北条政子に関する記述は楽しめます。
で、この本で気付かされたことがあります。正直「おお〜」と思いました。
それは、源頼朝が平氏を壇ノ浦で破った後、すっかり平氏に対する関心を失ってしまったらしいこと。平氏の残党よりも、むしろ源義経や奥州藤原氏に視線が向いてしまったような感じです。壇ノ浦で平氏が全て滅んだとも思えないのですが。
日本の半分を支配したと言われている平氏。その平氏はどこから来て、どこへ行ってしまったのでしょう。その辺りの疑問を八切さんは指摘しています。
平家物語などはとても好きなので、新たな視点での考え方を学ぶことができて嬉しいです。良い書物と出会えました。
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平家の豪華な顔ぶれの多くは、どこへ行ってしまったのか。
読後、それが心に残りました。
源氏の大軍と数では負けていなかったはず。
その人々が皆戦で死んでしまったとも思えません。
ミステリーとも言えますが、その辺りに切り込んで解明しようとした人はあまりいないようです。
またお立ち寄り下さい。
どうぞご贔屓に。