電車に乗って移動すると、路線ごとに窓の外の景色の雰囲気が違うことに気づきますね。
その理由を、データに基づいて説明したのがこの本です。
書いた人たちは「首都圏鉄道路線研究会」といいます。
中央線、総武線、東急、東武、京王、小田急などの沿革や現在までの盛衰がコンパクトにまとめられています。
この本を読むと、普段の通勤で乗る電車内で過ごす時間が、少しだけ楽しくなるかもしれません。
この本を読んで、勉強になったのは以下の点です。
東西線の混雑率は200%
山口に住んでいたころ、出張で東京に来て、東西線沿線のホテルに泊まったことがありました。で、朝の打ち合わせに間に合うように東西線に乗って、驚きました。乗るのも降りるのも、自分の意志が通じません。
ドドドっと押し込まれ、ドドドっと押し出される感じ。ドドドは誇張でも喩えでもなく、本当にそう聞こえました。で、車内ではつり革も手すりも触れることなく、軽いつま先立ち状態で、ただいるだけ。それでも、電車が揺れても大丈夫。周囲の人たちにバランスよく密着状態で押されていて、倒れることはありませんでした。
この本のデータによれば、混雑率200%とのことです。平成24年のデータですが。
恐るべし、東京、と感じた瞬間でした。
お金持ちの人が多い街を通る京王井の頭線
データがあるようです。この本を書いた人たちが調べたのですね。野村證券のデータ(2008年)を利用しています。1世帯あたりの総所得、金融資産、いずれも首都圏の路線ではトップとのこと。
だからといって、京王井の頭線沿線に住むとリッチになれるという訳でもなく。このことを知って、ああ、やっぱりか、くらいの感想を持つくらいでしょうか。
東急の創設にはあの渋沢栄一がいた
東急の母胎は田園調布株式会社不動産資本会社。創立者は渋沢栄一です。田園調布は都心から離れているため、鉄道の建設を企画します。渋沢が、当時武蔵電気軌道に勤めていた五島慶太を実務担当者として創業にまでこぎつけたのが東急です。こんなところにも渋沢栄一の名前が出てくるのですね。
「沿線格差 首都圏鉄道路線の知らせざる通信簿」
東急の創設者って知ってる?
首都圏各路線の歴史がざっと見ることができました。
普段使っている小田急や京王の歴史、現状、路線の特徴などもわかりました。
へえ、と思うこと盛りだくさん。
沿線住民にはお薦めです。
ただ、事実を知ってがっかりすることも?
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。