詐欺、虚偽の広告、言い逃れ、詭弁、フェイクニュース。
これらが実際に存在し、現状では有効な対策がない。
その背景にある心理学的なメカニズムが説明されています。
先端の研究結果やデータを引用しながら議論が続けられています。
それぞれ納得できる内容になっています。
今回の読書で学んだ点は以下です。
自動的処理と制御的処理
自動的処理とは「非意図的、無意識的、制御不可能、効率的、速い」という特徴をもつものです。
印象で判断するなどというのがそれになります。
一瞬で感じる好き、嫌いなどもそうでしょうね。
一方の制御的処理はその反対。
「意図的、意識的、制御可能、非効率、遅い」。
慎重に考えて判断するというもの。
著者は、人間の情報処理は自動的処理が基本(デフォルト)になっているといいます。
車の運転は自動的処理ですね。
カーブに差し掛かるから、そろそろハンドルを切ろうかな、なんて一々考えている訳ではありませんね。
直感的な判断が正しいこともある。
それも自動的処理になります。
社訓の影響力
プライミングという現象が紹介されていました。
予め与えられた情報がその後の行動に無意識のうちに影響を与えることです。
これは電通の新入社員の過労による自殺があったことの背景にあるものと考えられたため注目されました。
新入社員時代にこの歯切れのよい言葉で言い切られた訓示は、影響力をもつものでしょう。
一方で具体的な内容はありません。
各個人がその内容を補って理解するということを繰り返す。
この社訓は電通社員の行動に強く影響を及ぼし、その結果、ブラック起業化していったのかもしれません。
係留点の影響
係留点は先のプライミングの一つ。
広告に表示される価格に関して。
通常価格40,000円のところ、今回に限り29,800円で販売します。
こう書かれると、読んだ側はお得感を持ってしまうでしょう。
40,000円という値段からスタートしているからですね。
この40,000円が係留点。
この40,000円の表示がなく、29,800円とだけ書く時よりもお得感があるため、その商品は売れるようです。
同じ値段なのですけどね。
アメリカのスーパーで行った実験の結果が紹介されていました。
ある商品を特別割引価格で販売したのですが、ある日は「お一人何個でも」、別の日には「お一人12個まで」と掲示したそうです。
その結果、「お一人何個でも」と掲示した日は3.3個、「お一人12個まで」と掲示した日には7.0個売れたとのことでした。
広告や宣伝を見るときに、気にしてみると面白いかもしれません。
岡本真一郎 「なぜ人は騙されるのか
詭弁から詐欺までの心理学」
アフィリエイトで頑張っていると、広告ってなんだろうと思うことがあります。
今回の読書はとても参考になりました。
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。