小学生だった娘を殺害された山野辺夫妻の前に、死神の千葉が現れた。
その日、容疑者の本城は無罪判決を受けて自由の身になっていた。
本城が犯人であることを山野辺夫妻は確信している。
本城自身が、夫妻にその証拠を示して、自分が犯人であることを知らせているのだ。
山野辺夫妻は、自らの手で本城に復讐することを心に決めていた。
死神の千葉は、山野辺の最後の7日間を見つめにやって来ていた。
仕事として。
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京極夏彦さんの「人でなし」という作品の主人公も、娘を殺害されていた。伊坂「死神の浮力」は犯人に復讐することを考えるが、京極「人でなし」は、自分自身が普通の人ではなくなることで生きて行こうとする。
京極作品に「人ごろし」というよく似た題名の作品があるが、こちらは幕末から維新期の土方歳三を主人公にした作品。この作品で描かれる沖田総司は、「死神の浮力」、「人でなし」の犯人側に近いキャラクターである。
伊坂幸太郎 「死神の浮力」 それで何が解消されるのか
家族が殺人事件の被害者になるストーリーの小説は、手に取ることがとても気が重いのです。
お気に入りの作家のものでなければ、大体敬遠します。
読後、伊坂さんの本でよかったと思いました。
またお立ち寄りください。
どうぞご贔屓に。
