還暦記:暖淡堂

還暦前後の日々の記録

椎名誠 「かえっていく場所」 旅の小休止の時

かえっていく場所_椎名誠

 

椎名家の家族は、それぞれ自分の足で歩き続けている。

自分自身の時を、自分自身の波長で生きている。

波は、振幅が異なれば打ち消し合うこともある。

しかし、振幅がそろえば、強め合う。

 

長い旅暮らしの中では、心身に不調をきたすこともある。

椎名さん自身もそうだが、家族それぞれに山もあり谷もある。

奥さんの不調に対し、奥さんご自身で出した答えが、チベットへ行く、だった。

家族は心配するが、奥さんはその旅の過程で、次第に自信を、自分を取り戻していく。

以前の自分に戻るのではなく、何かを乗り越えた先の、自分の軌道に戻って行く感じだ。

 

椎名家の家族は、ある年の正月を、余市の山荘で過ごすことになった。

久し振りに家族全員が揃う。

雪に埋もれたような山荘の中で、ストーブのある部屋に集まり、食事をしながらなんでもないことを話し合う。

そんな時を過ごすために、その場所に帰ってきたような気がする。

のんびりとした、優しい時間が流れている。

 

自分も、移動の多い暮らしをしてきた。

コロナで、すっかり家にいることが多くなった。

嫁さんと話をする時間も長くなった。

この時は、帰って来ているのだろう。

 

自分にとって、コロナによる生活の変化は、悪いものではない。

 

 

 

愛読書の一冊です。

なぜかたまらなく切なくなることがあります。

自分のこれまでの暮しを振り返るからでしょうか。

よい休日をお過ごしください。

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dantandho

椎名誠 「帰って行く場所」 旅の小休止の時

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